ナマズとセシウム2012/05/16 21:52

吉川市の中川のナマズから放射能
 埼玉県の東の端に吉川というところがあります。もうだいぶ前のことですが、私はその町に暮らしていたことがあります。中川と江戸川に挟まれた水の豊かな田園地帯でした。さして名物のない町ですが、「ナマズ」が有名です。駅前に巨大な金色のナマズのモニュメントを造るくらい気合が入っています。街中には川魚料理を出す老舗の料理屋が並び、美味しいナマズ料理が食べられます。この吉川のナマズにとってショッキングな出来事が起こりました。
 埼玉県が4/1に同市中川の新川橋下流で採集した天然ナマズ2匹から体重1kg当たり130ベクレルの放射性セシウムが検出されたのです。県は中川の天然ナマズを食べないようにお触れを出しました。もっとも、食用のナマズはすべて養殖モノで、こっちの方はセシウムが検出されていませんから、料理屋で食べるナマズは大丈夫です。さて、いったいどうして天然ナマズからセシウムなのか?今回は、この問題について考えてみたいと思います。
 中川は今では排水河川のような川になっています。北は利根川、南は荒川という2大河にはさまれた関東平野のど真ん中をくねくね流れ低地の水を集めて、最後は葛飾あたりを通って東京湾に注ぎます。江戸時代初めころまでは利根川と荒川の本流が流れていたところです。埼玉県東部平野では、利根川から農業用水を引いて水田を作り、排水が中川に流れ込むようになっています。さらに、平野部に降った雨は最終的に中川に流れ込みます。ですから、原発事故で関東平野に降り積もった放射性物質がこのような河川に相当流れ込んでいると考えられます。さらに利根川を通じて群馬県の山岳地帯からも放射性物質が流れてきているでしょう。
 セシウムはイオンとなって水に溶ける物質ですが、粘土質粒子があるとそれに吸着しやすい性質があります。したがって、雨水で流される場合も粘土質粒子と一緒に流されていくと考えられます。このような微粒子は流れが緩やかになると川底に沈殿していきます。さらに、海に近くなり標高差が小さくなると満ち潮の時に海水が逆流してくる「塩水楔」という現象も起こります。中川でも吉川付近までその影響が及んでいます。薄い濁りとして水中に拡散している粘土質微粒子は、海水に触れると微粒子同士がくっ付き合うという「凝集」現象を起こし、いっきに沈殿が進みます。このようなことから、下流から河口にかけての川底にはセシウムが溜まる傾向があります。この現象はNHK特集でも紹介されました。
 ナマズという魚は、川底に住んでいます。最大60cmにも達し、日本の淡水では大型魚類です。手当たり次第に何でも食べるといってもいいほどの大食漢です。主に、ドジョウや小魚、カエルやエビや昆虫などを食べています。淡水中の食物連鎖においては頂点に位置します。食物連鎖の段階が上がるほどセシウムの濃度は生物濃縮によって高くなる傾向があります。今後、ドジョウなどを採集して放射能検査をすればセシウムの流れがより明確になるでしょう。ドジョウは泥を食べて中から小動物を濾しとって餌にしています。泥は吐き出すのですが、このような食性から川底の汚染を取り込みやすいのです。泥→底生小動物→ドジョウ→ナマズ・・・と生態系の中をセシウムが流れていきます。最後が排泄物や死骸となって環境に戻って、また生物に取り込まれて・・・ということを繰り返し、生態系の中をぐるぐる回ることになります。
 自然生態系の中では、魚だけでなくシカやイノシシなどの野生動物たちに放射能汚染が広がっています。それらを人間が食べないから無関係だと言えるでしょうか。今、自然に生きる生物ほど大きな影響を受けています。植物でも、山菜やタケノコ、キノコといった自然の恵みのものに汚染が顕著です。これまでもっとも喜ばれていた天然物が一番危ないという実に皮肉なことが起こっています。食べ物は、本来自然の恵みです。日本は、太古の昔から、山の幸、海の幸に恵まれた豊かな国でした。これまでも近代化の中で多くのものを失ってきましたが、今回の放射能汚染は極めつけの最悪ではないでしょうか。遠いところから食べ物を買ってきてしか安全に生きるすべがないなんて・・・!
 子どもの頃、朝から晩まで川遊びをしたことを思い出します。ナマズも採ったことがあります。ナマズは怖いという印象でした。小さな子どもたちの目当てはドジョウでした。バケツいっぱいになるほどのたくさんドジョウを採って家に持ち帰ってドジョウ汁にして食べた記憶があります。足の裏をくすぐられる感覚が今でもよみがえってきます。私たちはそんな記憶をもつ最後の世代かもしれません。さて、自らをドジョウになぞらえた野田総理、私と同世代の人間ですが、本当のドジョウを知っているのでしょうか。地盤の船橋市はいわゆるホットスポットで、市内の海老川で底土1kg当たり6400ベクレル(昨年11月)もの放射性セシウムが出ています。今や「泥をかぶる」ということは「放射能をかぶる」と同じことです。野田総理、その覚悟がありますか。

天然ナマズで基準超放射性セシウム(NHK5/11)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120511/k10015067171000.html

ナマズの放射性物質調査の結果について(埼玉県5/11)
http://www.pref.saitama.lg.jp/news/page/news120511-14.html

東京湾のセシウム、7カ月で1.7倍 流れ込み続く(朝日新聞5/10)
http://www.asahi.com/national/update/0509/OSK201205090186.html

東日本大震災の被災地における放射性物質関連の環境モニタリング調査について(環境省HP)河川の調査は環境省らしい
http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html#monitoring

柏崎刈羽原発の再稼働を許すな2012/05/09 20:31

米山SAから見た柏崎刈羽原発
 何の変哲もない風景写真ですが、海の向こうに見えるのは「世界最大の原発」東京電力柏崎刈羽原子力発電所(略称KK)、右手前から1,2,3,4,7,6,5号機の7つの原子炉が並び、総出力821万キロワットは世界最大。こんな写真がコンパクトデジカメのズームで簡単に撮れます。撮影場所は北陸自動車道米山サービスエリア(上り線)で、原発からはおよそ14kmのところです。連休中に立ち寄った時に撮影しました。こんな目と鼻の先に巨大な原発が存在しているのです。人口9万人の柏崎市中心部からは7kmしか離れていません。高速道路は、もっとも近いところで、原発まで3kmのところを通っています。ただ、そこからは松林に覆われた丘陵が遮っていて煙突や鉄塔以外は見えません。2系統の送電線が高速の上を跨いでいます。ここを伝わってはるばる関東に電気を送っていたのかと思うと複雑です。
 現在すべての原発が停止中です。これだけの大規模な発電所ですが、2007年7月の中越沖地震以後の5年間に運転されたのは、全発電能力の2割弱です。地震後2年半近く全機停止していましたが、運転再開反対の声を押し切って、7、6、1、5号機の順で次々に運転が再開され(7号機だけが2回運転)ましたが、現在はすべて定期点検で止まっています。そして、2、3、4号機は未だに地震で停止したまま運転されていません。ですから、現在は発電量ゼロどころか冷却のため莫大な電力を消費する「世界最大の無用の長物(危険物)」と化しています。
 東電の家庭用電気料金10.28%値上げが問題になっています。これは東電の「総合特別事業計画」に含まれているものです。値上げ自体の不当性については改めて考えたいと思いますが、この「事業計画」には絶対に見過ごせないことがあります。それは、東電が「柏崎刈羽原発を2013年4月に再稼働する」と明言していることです。再稼働を前提とした事業計画をこの時点で出してきて、しかも国がそれを認可するようなことになれば、これまた本末転倒です。事故を起こした会社が事故の後始末もできていないうちにもう再稼働を口に出すなど呆れます。今後、東電は実質国有化によって救済されそうな流れです。つまり、国と東電が名実共に一体化したら、いったい誰が東電の再稼働を判断するのでしょう。事業計画の認可はそのまま「再稼働ありき」の流れをつくるものです。
 これに対して、地元の新潟県の泉田知事は原発の再稼働には一貫して反対しています。福島原発事故の検証なくして再稼働の検討すらあり得ないと言っています。柏崎市の会田市長も同じ態度です。「東電は事故のけじめをきちんとつけてからモノを言え」という強い態度が感じられます。中越沖地震以来、東電に対してはかなりの怒りと不信感を持っていましたから、この対応はうなずけます。
 さらに、住民の動きもあります。再稼働の是非を問う住民投票を実施するための直接請求運動が始まりました。新潟県民の4万人以上の署名を目指しています。原発地元住民自らの声を反映させる動きで非常に注目されます。新潟ではかつて東北電力の巻原発建設計画を巻町の住民投票によって中止させたという歴史もあります。
 このように、柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては、カネの問題から再稼働させたい東電(と国)と、原発事故の恐怖を他人事とは思えない地元自治体(住民)との隔たりは大きいようです。もう一つのカギを握るのは、東電の電気を使っている私たち関東圏の住民です。実は最大の当事者でありながら、まるで他人事のように思っている人が多いのではないでしょうか。東京では近々「原発都民投票条例」が議会にかけられます。この行方にも注目しています。とにかく、みんなが自分の問題として考えることが必要です。
 最後に一言、「東電よ、原発再稼働なんて言い出す前に、原発事故の後始末をきちんとしろ」。

新潟県知事、再稼働前提なら「新社長と会わぬ」 柏崎原発巡り (日経5/9)

関西電力大飯原発の再稼働問題について(泉田知事定例記者会見4/19)

柏崎刈羽原発:再稼働是非、住民投票で 署名集めへ市民団体 /新潟(毎日新聞4/30)

住民投票で巻原発を阻止した住民運動

32万筆 署名有効 「原発都民投票」条例制定請求へ(東京新聞4/24)

瀬戸内寂聴さん「原発はね、無くさなければいけない」2012/05/07 06:56

経産省前でハンスト中の瀬戸内寂聴さんら
 5/2、作家の瀬戸内寂聴さんが経産省前の脱原発テント村を訪れ、原発再稼働反対を訴えるハンガーストライキに参加しました。90歳になるとは思えないエネルギーと生命力を感じさせます。
 つい最近まで、寂聴さんは東京新聞で「この道」という連載を書いていました。関東大震災で大杉栄とともに虐殺された伊藤野枝や、大逆事件で幸徳秋水とともに処刑された管野スガのことなども書かれています。「青鞜」の女たち、軍国主義に向かう時代に自由を求めて生きた女たち、彼女らの生き方に寂聴さん自身の人生を重ねて描かれています。「美は乱調にあり」「遠い声」などの作品を思い出しながら興味深く読みました。寂聴さんは、心の自然と魂の自由を徹底的に追求してきた人だと思います。だから、人間を縛り付ける権力や支配に対して異議を唱え続けてきました。
 今回は当日の寂聴さんの発言内容を一部ですがご紹介します。私を含めて若い世代に勇気とエネルギーを与える力強い言葉だと思います。

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誰かに任せておいてどうしてなくなるんですか?
それはもう、自分たちでなくそうと努力しなければなくなりません。だって、なくしたくない人たちもいるんだから、その利益のためにね。
だから私たちは悪いと思ったらですね、それはやっぱりね、自分たちで闘って不必要なものはなくさないといけないです。

体なんていたわっていたらこんなことできませんよ。

日本は原爆を2度受けてて、私が生きてきた90年でね、こんな悪い時代はなかった、って言っているの。戦争中の方がね、まだ、ましでしたよね。

恐ろしい国ですよ。滅びつつありますよ。これから生きていくね、若い人とかね、子どもたち、生まれてくる子はどうするんですか?と、どうやってそれをね、平気で恐ろしい国に渡せるんですか?だから、それはとてもね、今悪い状態ですね。
それをどうして政治家が感じないのかがね、本当に鈍いと思いますね。だって今の政府が再稼働をしようとしているんでしょ?
ドジョウはそんなことしませんよ。本当のドジョウは。

もう、政府がけしからんと思っています。国民が原発事故がどれだけ怖いかまだ自覚していない。再稼働しようとしている政府も悪いが、その人たちを選んだのは我々国民。我々にも責任がある。
(テレビ朝日モーニングバードより)


原発はね、無くさなければいけないと思ってるの。安全な世の中にしたいって、それで体張ってるって訳。(TBSニュースバードより)


戦争で、広島がやられて長崎がやられている訳でしょ。その日本がですね、唯々諾々と原発を使っているということは非常に恥ずかしいことだと思います。
そして、これは絶対に無くさなければいけないですね。反対すべきだと思います。
(NHKニュースより)


私は、前の戦争を経験しています。
その時は、非常に素直な人間だったから、情報を全部信じてた。だから、勝った勝ったって、提灯行列したり、そういうことしてたんですね。日本が負けるなんて夢にも思わなかったの。
でも、見事に負けたでしょ。その時、私は北京で終戦を迎えましたから、自分は殺されると思いましたよ。
本当に大本営発表を信じていた自分の愚かさが、戦後つくづく嫌になってね、それまでは私は人の言うことを良く聞いてきたけど、これからは自分で触って体で感じたものでないと信じまいと思ったんですよ。
世の中に出ているニュースっていうものはね、決して真実でないと今私は思っているんですよ。だからね、何でも疑ってかかりなさいってことを若い人に言いたい。

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瀬戸内寂聴さんの経産省前での訴え(0:00〜5:00:テレビ朝日モーニングバード5/3、5:00〜6:00:TBSニュースバード5/2、6:00〜7:12)youtubeより
http://www.youtube.com/watch?v=hek_SEye5r4&feature=related

瀬戸内寂聴さんらもハンスト~経産省前脱原発テント(途中0:49〜1:54の部分、冒頭は鎌田慧氏、後半は澤地久枝氏)youtubeより
http://www.youtube.com/watch?v=a7fZIoDo3GY

脱原発 寂聴さんらもハンスト 経産省前(東京新聞5/2夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012050202000252.html

“絆”と原発危機~ポスト311の空気 ~2012/04/28 23:13

 “絆”と書いて“きずな”と読みます。最近では人と人との結びつきをさす言葉として使われていますが、もともとの意味は家畜をつなぎとめる綱(きづな)のことです。絆し(ほだし)と読めば、自由を束縛することという意味になります。転じて、断ちがたい情愛とかという意味にも使われて、今の意味につながっています。この言葉、少なくとも、3.11以前は、日常生活の中でよく耳にするような言葉ではなかったと思います。私などは、せいぜい長渕剛の歌「乾杯」の出だし文句が浮かんでくるくらいでした。ところが、3.11以後、にわかに“絆”という言葉が巷に氾濫するようになりました。町内会の募金から、果ては瓦礫受け入れまでも、みんな“絆”です。メディアを通じて“絆”キャンペーンが繰り広げられ、今では子供でも知っています。確かに良い意味での“絆”はとても大切なものだと思います。しかし、震災復興、がんばろう日本!助け合いとか協力という美名で飾られた“絆”という言葉の裏には、「日本人なら協力しろ」という無言の圧力が感じられます。断ろうものなら「非国民」と指差されそうな雰囲気があるのも事実です。今回は原発危機と“絆”をキーワードとして3.11後の時代状況を考えてみたいと思います。
 福島では原発事故の放射能によって汚染された大地に多くの人々が暮らし続けています。国は年間20ミリシーベルトまでは居住可能として避難体制の見直しを進めています。放射線管理区域の基準を大きく上回る年間20ミリシーベルトというとんでもない数値なのですが、緊急時を口実に被曝を正当化しようとしています。子供たちへの影響を考えれば、放射線を避けて避難すべきレベルです。なのに今、そこでは避難を口に出せない雰囲気があると言いいます。なぜなら、国も自治体も「除染」一辺倒だからです。国も自治体も、みんなで力を合わせて「放射線と闘う」と言っています。でも、DNAが放射線に勝てないのは自然の法則です。これではまるで竹槍でB29と闘う戦時中の発想と同じです。どんなに馬鹿げていても、みんなで闘っている時に逃げることは許されないという空気があるのです。それが“絆”なのでしょうか。
 震災瓦礫の受け入れ(押しつけ)問題にしてももそうです。放射性物質で汚染されている可能性のある瓦礫を全国の自治体で処理しようと国は躍起になっています。科学的技術的経済的な検証を曖昧にしたまま、とにかくみんなで瓦礫処理を受け入れることが復興に協力することだと、全国の自治体に迫っています。とにかく協力と迫って、安全確認や住民への説明が後回しになっています。「みんなで」助け合うという、ここでも “絆”がキーワードです。
 食べて応援キャンペーンもそうです。これまで国は異常に高い暫定基準値を作ってわずかなサンプリングで基準値以下ならあとはすべて安全として食品を流通させてきました。そしてそれを食べないことは、いかにもワガママとかヒステリーとでも言いたいような空気があります。学校給食においても放射能に対する不安を理由にした弁当持参を許さないという流れがあります。言い方は悪いですが、自分だけ助かるのか、とでも言いたいような雰囲気があるのです。これも“絆”なのでしょうか。
 話は少し横道にそれますが、震災直後、アメリカ軍は“トモダチ作戦”を展開して救援・支援活動を行いました。日米の“絆”などともてはやされましたが、原発(放射能)事故の情報収集活動とか震災の政治的利用という批判もあります。アメリカのパネッタ国防長官は3.11一周年にあたって日本政府に寄せたメッセージで、米軍と自衛隊との「パートナーシップと友好の絆(bonds of partnership and friendship)と言っています。英語では“bond”を使います。英和辞典で調べると、“bond”の意味は、「ひも、帯、束縛するもの、接着剤、結束、束縛、契り、きずな、契約、債権(研究社リーダーズ英和辞典)」などの意味があります。古語として「農奴、奴隷」という意味もありました。このように、同じ“つながり”でも相手を束縛するような“つながり”の時に使うところは、日本語の “絆”同じです。
 さて、話を元に戻しますが、このように、“絆”という言葉には裏表があります。「美しい言葉」としてそれを無批判で受け入れることはできません。人々を集団に従わせ個人行動を許さないというときに、“絆”を持ち出しているように思います。そうなると、まさに言葉本来の意味、すなわち、人々を鎖で縛り付ける“絆”となってしまいます。“絆”という言葉はもともと家族とが男女とか狭い範囲で使われる言葉だったと思いますが、それを国家レベルの社会集団に拡げて使うからおかしくなってしまうのだと思います。ましてや、国が国民に対してこの言葉を使う時には注意しなければなりません。日本には「国家」という日本語に象徴されるように、国を「家」にみたてる発想があります。家族の“絆”という情に訴え、国家総動員で戦争に突き進んだあの時代に逆戻りさせてはなりません。
 震災直後、日本人の「忍従や規律、団結と互助、献身、自己犠牲」の姿に海外から驚きと賞賛の声が寄せられたといいます。例えば、暴動や略奪が起こらないとか。これは一面、日本人の美徳であるようですが、反面、過ぎれば悪習にもなりかねません。「忍従や規律、団結と互助、献身、自己犠牲」これらの言葉をすべて「国家」の方向に向ければ、そのまま「ファシズム」になってしまいます。
 3.11以後、日本は非常事態にあって、その社会は一種の「擬似戦時体制」となっています。経済が行き詰まり政治が混迷し未来が描けない、そんな「時代閉塞」の気分がその「擬似戦時体制」と結びついて、いつか本物の「戦争」へと進んでいくのではないだろうかと恐れます。そんな時代の空気を象徴するコトバとして“絆”について考えてみました。これが考え過ぎであることを願っています。

チェルノブイリ原発事故から26年〜福島原発は?2012/04/26 21:21

チェルノブイリ原発の「石棺」
 26年経っても、壊れた原発はそのまま、溶け落ちた核燃料もそのままです。そのまますっぽり巨大なコンクリートの石棺で覆っています。石棺が老朽化してきたため、さらに外側を覆う第2石棺の建設が始まっています。いったい、いつになったら「収束」するのでしょう。
 実は事故直後、ソ連政府は10日間でほぼ「収束」させたと言っています。放射能の大量放出を押さえたと言うことですが、実態は押さえたのではなく、出るものが出てしまった結果でした。その後、大量のコンクリートを投入して突貫工事で石棺を作り上げました。事故後半年後の11月には完成させています。内部には手がつけられない状態ですが、それなりの封じ込めを達成しました。
 その後26年も経ちましたが、中は何も変わっていません。原子炉からマグマのように流れ出して固まった核燃料が少なくとも4トンはあると見られています。現在、第1石棺の老朽化が激しいため、さらに外側を覆う第2石棺を作り始めました。将来的には核燃料の撤去まで行うとウクライナ政府は言っていますが、あまりにも莫大な費用がかかるために、おそらく実現は困難でしょう。
 チェルノブイリ原発事故後26年で分かったことは、ひとたび大事故を起こしたら、後始末はできないということです。結局このまま現場封じ込めを続けるしかありません。いったい、あと何年? 使用済み核燃料が安全無害になるまで10万年と言われていますから、おそらくそれと同じくらい! 人間にとって10万年など「永遠」と同じです。だから、原発事故は永遠に収束しないのです。
 さて、福島原発はいろいろな意味でチェルノブイリよりもっと深刻です。同時に4基の原子炉(使用済み核燃料保管プール)が危機的状況にあり、福島第一原発全体で1000トンをはるかに超える核燃料(使用済み核燃料)が存在しています。1年以上経った今でも、何ら封じ込めができていません。今後、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しから始まって、最後は原子炉内から溶けた燃料の取り出しと言っていますが、チェルノブイリに比べてもはるかに複雑な作業が必要です。おそらく、私たち生きている間にそこまで見届けることは不可能でしょう。
 結局最後はチェルノブイリと同じように溶けた燃料は手付かずで現場封印するしかないでしょう。今から、それを想定して工事を始めるべきです。地下ダムで原発を取り囲み、全体を頑丈なシェルター覆い、一刻も早く使用済み核燃料を取り出す。そこまではできるはずだし、やらなければなりません。もちろん、莫大な費用がかかります。東電の工程表はやれることをやらずに夢のようなことを書いているから「絵空事」と言われるのです。
 何十年かかるか分かりませんが、少なくとも燃料プールが空になるまで、再び大地震や大津波、不測の事態が起こらないことを祈るような気持ちです。そんな綱渡りをこれからも長期間にわたって続けなければなりません。フクシマはチェルノブイリよりはるかに困難な状況にあるのです。最近、もしかしたらチェルノブイリの方がまだマシなのかと思うことがあります。

三井化学爆発事故と劣化ウラン2012/04/23 19:20

三井化学岩国工場爆発事故
 4/22未明、山口県の岩国コンビナートにある三井化学の工場で大きな爆発事故が発生、36時間にわたって燃え続けました。作業員1名が死亡、11名が重軽傷を負いました。周辺の住宅にも爆発で窓ガラスが割れたりする被害が及びました。実は、この工場には大量の「劣化ウラン」が放射性廃棄物として保管されています。今回は、火災現場から350メートルほど離れていて影響はなかったと発表されていますが、万一のことを考えると本当にぞっとする出来事です。昨日は、ツイッターなどネット上でさまざまな情報が飛び交いました。今のところ、この件について、突っ込んだ報道をしているマスコミはないようです。
 劣化ウランを含む放射性廃棄物は、ドラム缶に換算して3379本分あります。これは文科省が毎年出している保管状況の報告で確認できます。最新版が平成22年度報告で3379本、21年も20年も同数ですから、まったく使われず保管されているだけということが分かります。一部報道によると、この劣化ウランはかつて化学反応の触媒として使用したもので、現在は処分できずにそのまま保管しているとのことです。このような形の劣化ウランは、実は日本中の化学プラントに今なお大量に存在しています。なお、3.11の時に千葉県でコスモ石油のLPGタンクが爆発炎上した時、隣接のチッソ石油化学五井工場に保管してあった「劣化ウラン含有触媒」ドラム缶33本に火の手が迫り保管庫の壁まで焼けています。これも、危機一髪でした。
 そもそも、「劣化ウラン」とは何でしょう?英語では”depleted uranium”と言います。“涸渇した”とか“消耗した”ウランという意味です。使った後のウランとか、放射能が無くなったとか誤解されやすい名前ですが、これは核燃料製造工程で作り出された副産物なのです。要するに、天然ウランを「濃縮ウラン」と「劣化ウラン」に分けると考えて下さい。
 100万キロワットの標準的な原発1基を1年間稼動させるためには約30トンのウラン燃料が必要です。30トンの核燃料を作るためには、山から掘り出すウラン鉱石がなんと130,000トンも必要です。130,000トンのウラン鉱を精錬して190トンの精製ウラン(イエローケーキ)が得られます。残りの129,810トンはウラン鉱滓として捨てられます。この190トンのイエローケーキは天然ウランと同じ同位体比率になっています。ほとんどはウラン238で、核分裂性のウラン235は0.7%しか含まれていません。これを濃縮することによってウラン235の割合を3~5%まで高めた「核燃料用濃縮ウラン」30トンが得られます。この過程で分離された残り160トンは、ほとんどウラン238なので燃料には使えません。これが「劣化ウラン」です。核分裂エネルギーを取り出すことができないという意味で“涸渇した”ウランなのです。
 この「劣化ウラン」は何に使われているのでしょう?一番有名なのは「劣化ウラン弾」つまり兵器です。極めて比重の大きな重たい性質を利用して戦車の分厚い装甲を貫く特殊な砲弾として開発されました。1991年の湾岸戦争で初めて大量に使われました。その後、兵器の種類も数も増え、ボスニア、コソボ、セルビアの紛争、アフガン戦争でも使われています。後述しますが、放射能被害を及ぼす点では「核兵器」とする見方もあります。セルビアの調査では劣化ウラン弾からプルトニウムが検出され、極めて放射能レベルの高い使用済み核燃料が混ぜられた疑いも持たれています。
 民生利用では、やはり重さを利用して航空機の振動を抑えるカウンターウェイト(重り)にも使われたことがあります。日航ジャンボ機墜落事故のときは尾翼に240キログラムの劣化ウランが使われていたことも救援活動の遅れを招いた原因の一つと言われています。このときは幸い墜落火災に巻き込まれませんでした。現在の航空機にはタングステンが使われています。他には、今回の三井化学のようにウランの化学的性質を利用するときにも、ウラン原料としてこの劣化ウランが使われました。
 「劣化ウラン」の危険性は何でしょう?ウラン238という放射性物質であるということです。劣化ウラン1キログラム当たり1000万ベクレルの放射能を持っています。しかも、ウラン238はアルファ線を出します。アルファ線は体内被曝が問題です。湾岸戦争時、米軍はイラクのバスラ周辺で数百トンもの劣化ウラン弾を使用しました。バスラでは5年後からガン死者が急増、10年後には戦争前の20倍にもなりました。ガンの他にも奇形などの先天異常が多発しています。イラク人だけでなく米軍兵士の体も蝕み、多くの帰還兵が「湾岸戦争症候群」に苦しんでいます。このような被曝症状はボスニアでも急増しています。
 劣化ウランが高温燃焼すると超微粒子(エアロゾル)となって拡散します。この微粒子が呼吸とともに肺や気管支に吸い込まれると、長期間体内に留まりアルファ線による体内被曝を受けることになります。特に極微粒子の場合、組織や血管の膜をすり抜け全身に広がります。加えて、重金属特有の化学毒性も非常に強いことが分かっています。放射線被曝と化学毒性の相乗効果によって、体内にある劣化ウランは極めて微量でも大きな影響を及ぼします。
 文科省のリストを見ると、今回の三井化学だけでなく日本中に放射性物質(廃棄物)が存在していることが分かります。そのほとんどは処分することができずにずっと保管されているのです。原発を使い続ければ、処分できない廃棄物がますます増えるということです。今回の事故で「劣化ウラン」について考えてみました。

三井化学岩国大竹工場 プラント爆発事故で22人死傷(テレビ新広島TSSニュース4/22)
http://www.news.tss-tv.co.jp/news_html/1204220020.html

平成22年度放射性廃棄物管理状況(文科省)平成22年度下期放射線管理等報告について11ページ別表2−3
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan059/siryo4.pdf

参考文献:「内部被曝の脅威」肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著

スイシンジャー 異形編2012/04/18 15:07

スイシンジャー異形編に出演する小出さん
 「スイシンジャー異形編」が公開されました。2月にご紹介した「絶対!!原子力戦隊スイシンジャー 」の続編です。しかも、小出裕章先生が特別生出演しています。「東電レッド」「経産省ブルー」「マスコミホワイト」 3人のスイシンジャー戦士たちに詰め寄られる「怪人・小出男」!次々と繰り出される「スイシン」攻撃を、いつもの調子で飄々と反撃する小出さんが面白い。いつの間にか小出さんのヒーローものになっていました。でも、単なるヒーローものではありませんからぜひ最後までご覧ください。チラっとですが小出さんの若き日の姿も見れます。
 
スイシンジャー 異形編(YouTubeよりー23分)
http://www.youtube.com/watch?v=9FiwgKYdwrg

「絶対!!原子力戦隊スイシンジャー」2/12ブログ
http://tomtittot.asablo.jp/blog/2012/02/12/6331480

大飯原発再稼働、野田内閣が決定!~北朝鮮ミサイル実験日に2012/04/14 05:47

 13日金曜日夜、ドサクサに紛れて「再稼働」を発表した野田内閣!まるでこの日を待っていたかのようなタイミングに驚きました。メディアはこぞって北朝鮮ミサイル報道のお祭り騒ぎ、ニュース番組の8割以上の時間はミサイルミサイル!残り数分でさらっと「原発再稼働」・・・だいたい重大発表は金曜日夕刻が多いのですが、それにしてもタイミングが良すぎます。
 これまでの関係閣僚会議の流れを見ても、前回と今回で中身的に変わったことなどありません。最終的には「夏の電力が足りないから」という理由しかありませんでした。これでは初めから結論ありきと言われても仕方ありません。後は、発表のタイミングを待っていたとしか思えません。
 ここにきて政府は北朝鮮ミサイル問題を最大限に政治的利用しています。これが北朝鮮による政治的ショーなら、日本にとっても政治的ショーです。軍事的危機を煽って、世間の耳目を外へ向かせました。まさに姑息なドサクサ政治と言わざるを得ません。
 ミサイル問題と原発問題が結びつくところがもう一つあります。もし国家間の全面戦争になったら、ミサイルが狙うところは間違いなく原発です。ズラリと並んだ原発・・・これ以上は想像したくありません!例えば、使用済み核燃料プールは弱点です。福島4号機で明らかになっています。これがもし破壊されれば、大量の放射能飛散、原発放棄制御不能・・・これ以上考えたくありません。
  私は戦争には絶対反対です。でも、戦争という危機があることは否定できません。そして、その危機は原発と深く結びついています。

大飯原発 運転再開必要と判断(NHKニュース4/13)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120413/t10014439811000.html

日本の原発51基をミサイル攻撃すれば(統一日報)
http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=48933&thread=03r01

4号機燃料プール冷却停止!2012/04/13 12:33

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 今、もっとも危ないと言われる福島原発4号機の使用済み核燃料プール、その冷却が昨日から止まっています。このプールには原子炉2つ分にあたる1535体の燃料集合体が水中に保管されています。これだけで広島型原爆4000発分のセシウムが存在しています。これらの燃料は膨大な崩壊熱を出しているので、常に水で冷却し続けなくてはなりません。
 4/12午後2時44分、警報が作動し冷却水を循環する装置が停止しました。4/13午前の会見時点で、まだ停止中です。装置が停止した原因はまだわかっていません。水の循環が止まると、プール水温は1時間当たり0.5℃の割合で上昇するとしています。昨日の発表では、保安規定の65℃を超えるまでにまだ70時間あると言っていました。しかし、もうすぐ24時間経とうとしている現在、プールが何度なのか情報がありません。
 午前の会見の中で、東電のスポークスマン松本氏は、午前3時時点で49.9℃と答えています。昨日午前11時が28℃だったわけですから、すでに20℃以上上昇しています。これでは1時間当たり1.6℃以上の上昇になります。この通りとすれば非常に危険な状態で、このままいけば本日午後には65℃を超えます。
(注:東電松本氏は「49.9℃」という数値を間違って発表している可能性があります。今日の会見は、1〜3号機の窒素ガス注入系停止トラブルに関する臨時会見でした。直前に1号機ドライウェルの温度を49.9℃と発表していますの、それと混同している可能性があります。それにしても、疑問のある温度数値なのに現場の記者からはそれ以上質問が出ませんでした。不思議です。)
 東電は、冷却水漏れは現在止まっているので、システム再起動すれば冷却再開できると呑気に構えています。しかし、漏えいが停止の原因かも含めてまだシステムが停止した原因がわかっていないのですから、動くかどうか、動かしてもまた止まらないか、など実際どうなるかは分かりません。
 さらに、もう一つ気がかりなのは「ヒドラジン」が漏れていることです。ヒドラジンは今回の北朝鮮のロケット燃料にも使われている猛毒危険物です。福島原発では配管等内部腐食防止のためにこの危険物が注入されています。これが環境中に漏れ出せば放射能とは別の悪影響を及ぼすことになります。汚染水があちこちに漏れ出すような壊れたプラントにこれを注入することには多いに疑問があります。
 このように、詳しい状況は現在もはっきりしません。もし万が一プールが冷却できなくなれば、大変なことが起こります。マスコミはミサイル問題ばかりで、このことをほとんど伝えていませんが、万一のことになればミサイルどころではありません。今後の情報を注視しなければなりません。

 福島原発では、いろいろなことが次から次へと起こっているので、余程注意深く見ていないと何が大事な問題なのか分からなくなります。先ほども少し触れましたが、1〜3号機の格納容器内窒素注入ラインがまたも停止しました。バックアップラインで注入を継続していますが、これも原因が不明です。4/4、4/7、と止まってこれで今月3回目です。水素濃度は6時間おきに測って異常なしとは言いますが、変化が確認できるような生データは出ていません。(現在、水素濃度0.14%、ドライウェル温度49.9℃から55.5℃に上昇中と発表しています)これについても、注視していかなければなりません。

◆以下「東電発表」をそのまま引用します(4/12,5pmの記者会見資料より)
※4月12日午後2時44分、4号機使用済燃料プール代替冷却システムにおいて、「熱交換器ユニット漏えい流量大」の警報が発生し、当該システムのポンプが自動停止。系統からの漏えいの有無について現場確認を行った結果、以下の漏えい事象を確認。使用済燃料プール冷却システムが自動停止した事象と漏えいの関連性について、今後調査を行う予定。なお、停止時の使用済燃料プール水温度は28℃であり、温度上昇率は約0.5℃/hと評価している。
(1)系統からの漏えいの有無などの確認を行っていたところ、同日午後3時4分頃、当該冷却システムにヒドラジンを注入する配管に設けた逆止弁より、7秒に1滴程度、ヒドラジンが漏れていることを確認したことから、ヒドラジンの注入弁を閉止し、漏えいは停止(同日午後1時35分から同日午後2時56分にかけてヒドラジン注入を実施)。逆止弁の直下に漏れたヒドラジンの量は約20cc(10cm×20cm×1mm程度)。
(2)同日午後3時10分頃、4号機廃棄物処理建屋の1階東側において、使用済燃料プール代替冷却ラインの配管フランジ部より、2秒に1滴程度、系統水が漏れていることを確認。その後、同日午後3時55分頃、当該フランジ部の増し締めを実施し、漏えいが停止したことを確認。系統水は、フランジ部近くのファンネルを中心に、約20リットル程度(1m×2m×1~2cm程度)漏れた状況を確認。床面に漏れたヒドラジンおよび系統水は、廃棄物処理建屋内に留まっており、これら2箇所以外において、現場確認により、漏えいがないことを確認。


東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後5時現在】プレスリリース
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1201857_1834.html

4号機燃料プール、冷却停止=配管で水漏れ20リットル-東電(4/13時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012041201033

北ミサイル燃料に強い毒性、大量吸引なら死亡も(4/11読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120411-OYT1T00712.htm

<追記>(4/14)
 結局、システム停止の原因がはっきりしないまま運転を再開しました。冷却水漏れの原因はヒドラジン過注入のようです。停止時間は約25時間20分、停止中の温度上昇は7℃ということです。やはり、松本氏は温度を言い間違えたようです。東電はいつもさりげなくどうってことないように発表していますが、3.11前の基準で言えば「毎日が事故だ」ってことをお忘れなく!しかも綱渡りの毎日なのです。
東電発表より抜粋(プレスリリース4/14)
 その後、漏えいについては、使用済燃料プール代替冷却システムの停止後、ヒドラジンが継続注入されたことで、系統の一部が加圧状態になり、漏えいが発生したと推定。なお、漏えいが発生した一次系のフランジパッキンの交換を実施。使用済燃料プール代替冷却システムが停止した原因について調査したが、流量計の計装配管内に若干のエアの混入が見られたが、その他特に異常は確認できなかった。これらのことから、運転状態について確認を行うため、4月13日午後4時4分、当該システムを起動。同日午後5時35分から午後5時56分の間に流量計のエアベントを行い、同日午後6時10分、通常流量に調整し、流量検出器も正常に動作していることを確認。なお、起動後の使用済燃料プール水温度は35℃。運転状態について今後継続監視していく。

<追記2>(4/18)
東電の記者会見資料(4/16)
福島第一原子力発電所4号機使用済燃料プール 代替冷却システムの停止について

目先の再稼動云々の前に政府がやるべきこと〜「脱原発」のロードマップを示せ2012/04/11 22:06

 この1年、政府はいったい何をやっていたのでしょう。昨年7月に菅首相が「脱原発」を表明、9月に政権を引継いだ野田首相も「脱原発依存」を施政方針としています。半年前は「脱原発」が紛れもなく最大の政治課題でした。ところが野田首相は突如「消費税」を言い出し、いつの間にか「消費税」を最大の政治課題にしてしまいました。どうも、話を逸らされた感があります。
 今、大飯原発の再稼働問題が正念場を迎えています。政治判断とか政治が決断するとか言っていますが、本来政治が決断すべきは将来への道筋を示すことです。結局、今だに「脱原発」への道筋をなんら示すことなく、すべてが目先の問題だけで議論されています。堤防をかさ上げしたとか非常用バッテリーを増やしたとか、そんなレベルの話は今後の原発政策をどうするのかはっきりさせた上での話です。相変わらず話の順序が逆です。
 原発事故の収束も検証もできていない、新たな原子力の規制組織もできていない、保安院も原子力安全委員会も電力会社もすべてそのままで、将来にわたる原発の安全を判断できるということ自体がまったく理解できません。結局は電力会社の作ったストレステスト報告書や安全対策工程表を追認するだけの安全評価になっています。これでは、まさに、初めから再稼動ありきの出来レースと言わざるを得ません。
 原発というものは夏の一時期にスイッチを入れるというわけには行きません。動かし始めればずーっと動かしっぱなしの発電です。現在、原発なしで電力はまったく足りていますが、これで原発を動かせば、また火力を止めて余剰電力を生み出す発電スタイルに戻ります。電力需要論議が夏場の最大需要のみ問題にしているところが、そもそも目先の問題へのすり替えです。
 もし、このまま再稼働されれば、なし崩し的に既成事実だけが残ります。大飯原発に関しては「将来的にも」稼働を認めたという事実です。ひとたび前例というレールが敷かれれば、続いて、伊方は、玄海は・・・という流れは必然です。そういう意味では、今回の政治判断は、今後「政治は判断しない」ということを判断しているようなものです。
 原発事故は起こるということ、そして事故の影響はあまりにも大きいということ、不幸にもこれが証明されたのが今回の福島原発事故です。この厳然たる事実を受け止めて「脱原発」という方向性を政府自らが打ち出さざるを得なかったのです。野田首相は施政方針演説で「原子力への依存度を最大限下げる」と言いました。ならば、その目指す到達点とそこに至る道筋を具体的に国民に示さなくてはなりません。