海から放射能・・・その12011/03/30 20:14

 私は北関東の海なし県で育ちましたので、大きくなるまでほとんど海を見たことがありませんでした。私にとって海辺の街の大学に進んだのが海との出会いです。大学では海洋生物学を専攻し人里離れた臨海実験所に所属、毎日魚を追いかけていました。漁船にもよく乗せてもらいました。海の美しさ、広さ、深さ、大きさ、そして豊かさにふれることができました。それ以来海が大好きで、魚が大好きで、特に食べるのが大好きです。お陰でたいていの魚はおろすことができます。今はまた海なし県に戻ってしまいましたので、現在の楽しみは食べることだけです。
 今回の大津波では海の脅威をまざまざと見せつけられました。海が盛り上がり全てを飲み込んだ自然のとてつもない大きな力に驚きおののき声もでません。多くの方々が被災しましたが、漁師の皆さんのことが特に気がかりです。各地の漁港は壊滅状態で船も奪われ生活の手段をまったく奪われています。ニュースでは漁師を辞める人も増えるだろうとのことです。私は大漁の時の漁師の喜びの満ちた顔を今思い出しとても残念です。全てを飲み込む恐怖の海ですが、同時に豊かな恵みをもたらす豊穣の海でもあります。海を見て一日も早く漁に出たいという漁師の言葉にガンバレと心から応援したい。
 とても気になる悪いニュースがあります。「海から放射能!」今日の情報では福島第1原発排水口より330m付近の海水から1立方センチ当たり130ベクレルのヨウ素131を検出と発表されました。これは海水の基準値の3355倍に当たる高濃度。またぞろ海は広いから大丈夫などとバカなこと言っている専門家がいます。まさか3355倍に薄めれば基準値クリアーなどと机上の計算をしているのではと疑いたくなります。きちんとものを言うには、海に流出した放射性物質の種類と量、さらには降下物として海に入った放射性物質などできる限り把握する必要があります。海水の採取観測をもっと広範囲で行い実際のデータを集めなければなりません。さらに、潮流や海流の状況、水深や攪拌の程度などに基づいて拡散予測を出さなければなりません。そして魚介類を採取して放射能を計測しなければなりません。さらには今後は長期にわたって食物連鎖に伴う生物濃縮についても監視していかなければなりません。長々言いましたが、「大丈夫」と言う前に学者としてはやらなければならないことが山ほどあるのです。正確な情報こそ「風評被害」を防ぐ基本です。確かめたうえで「安全」と言うべきだし、分からないことは分からないというしかありません。いい加減なことを言うから「風評」がたつのです。
 やっと海に出た漁師を待っていたのが放射能では余りにも悲惨です。私たちも美味しい魚を食べ続けていたい。海については続編を書きたいと思います(生物濃縮について)。なお、上の写真は娘が撮った海にスナップ。

 水産物の放射能検査結果(千葉県) http://www.pref.chiba.lg.jp/suisan/h23touhoku/index.html
 水畜産物の放射能検査結果(神奈川県) http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p168742.html
 これは日本近海の海流を表しています。海上保安庁・海流図 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/2011cal/cu0/qboc2011059cu0.html

>>コメントありがとうございました。どちらも読ませていただきました。ネット情報の難しさですね。 (4/1)

コメント

_ nakagawa ― 2011/04/01 09:00

海の幸もついに汚されましたね。予想されたことはいえ残念です。

このようなサイトに出くわしました。
原発がどんなものか知ってほしい(平井憲夫)
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

_ nakagawa ― 2011/04/01 09:29

↑に対して、このような立場もあります。http://ameblo.jp/subaru16cats/entry-10835600247.html

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