「電力不足」は本当か?…その12011/04/18 06:36

「原発危機」を「電力危機」にすり替える東電!

「計画的」停電の次は電力不足「演出」

 4/15、東電は夏の電力供給力を5200万キロワットに上方修正と、さり気なく発表しました。東電は、今夏の最大電力を5500万キロワットと想定していますので、だいぶ近づいてきました。経産省でも4/16に節電目標を下方修正しました。あれれ、けっこう電気があるぞと思った方も多いと思います。当ブログではすでに「原発なくても電気は足りる」と書きました。今度は、現在の東電に限って、改めて確認してみようと思いました。

 東電は、ほんの数日前まで供給力は4700万キロワットしかないと言ってきました。それは大変!停電だ、節電だ、と世の中、大騒ぎ。この数字、わざと少なく発表しているとしか考えられません。今回の発表だって、火力発電所の復旧、増強、ガスタービンの設置、揚水発電の計上など、いずれも、相当早い時期に見通しを持っていたはずだし、持ってなければおかしい話です。電力の独占的プロなのですから。世間が、「電力不足」問題で右往左往しているころ、東電のホームページから火力発電所のデータが消えています。3月に、火力発電所の運転状況を調べた時は、詳細に見られました。原子力のデータイブラリが消えた件はすで書きましたが、火力まで消されているとは。東電は、情報を隠しながら「電力不足」を過剰演出しています。「原発は安全です」と大きな声で言えなくなった今、「原発は必要です」というメッセージを「電力不足」キャンペーンに乗せて送っています。脅しがだいぶ効いているという強気の読みがあるからこそ、この時期に柏崎刈羽原発3号機の年内運転再開などということを口に出せるのです。

 2003年4月、東電は原発トラブル隠しの発覚を受けて、17基全ての原発を止めました。それでも、停電は起きていません。そう考えると、「計画停電」だって怪しいものです。くり返し言いますが、少なくともピーク時以外は1年中電気は余裕ですから。その年の夏も、原発2基を無理やり再開させましたが、結局、5650万キロワットの最大電力をクリアーしています。東電は今夏の最大需要予測を5500万キロワットと予想していますから、それほど騒ぐ必要はありません。それより、現在、停止中の火力発電所の復旧を急いだ方がよろしい。火力の被害状況や復旧見通しがほとんど公表されていません。おそらく、夏までには再起動させると思いますが、はっきり言わずに焦らしているのでは、というのは考えすぎでしょうか。
東電は家計簿を見せませんので、公表された情報だけでは電力のやり繰りがよく分かりません。ピーク時や緊急時のやり繰りでは、他社からの「応援受電」というのもあります。交流の周波数を変換して西日本から受電する分が100万キロワット、遠く北海道電力からも連系線というものを使って60万キロワット等165万キロワットを受電しています。さらに、「需給調整契約」というのがあって、企業などの大口需要者に対しピーク時の電気を減らす代わりに電気代を割引きするというものです。これも2003年時に140万キロワットというデータがあって、これはまだまだ十分普及していないので、まだまだ相当余力があるでしょう。その他、自家発電の買取分が50万キロワット位あります。東電は内訳をきっちり公開して、その上で、節電のお願いをすべきです。

 東電は基本的には、電気を売って利益を上げている私企業です。しかも、競争相手のいない独占企業です。その会社が、企業「論理」に反する「需要抑制」を本気でやれないのは当然です。常に「足りない」と言いながら拡大を続け、「電気がないと困りますよ」という脅かしながら「原発」を動かし続けているのです。

次回は、できるかぎり数字をあげて、考えて見たいと思います。