広野火力発電所・・・状況不明の火力?2011/04/21 00:06

東電広野火力発電所
 上が被災前、下が被災後の写真です。ここは、「東京電力広野火力発電所」、福島県広野町にありますが、東電の火力発電所です。福島第1原発から南に21キロメートル、第2原発から9キロメートルというきわどい位置にあります。石油及び石炭火力の発電炉5機を持ち、合計380万キロワットの発電能力があります。発電所は、太平洋に面した風光明媚な海岸にあり、しかも半分以上は埋立地の上に立っています。そのため、地震後の大津波に襲われ、甚大な被害を受けました。衛星写真からもそれが分かるほどです。

 この発電所の被害状況などほとんど報道されていません。原発ばかりに目がいきますが、「電力不足」問題を検証する上で、火力発電所の状況は重要な情報です。

 私がこれまでに確認した情報をまとめてみました。

  東電発表のプレスリリースでは、「広野火力発電所2、4号機 地震により停止中」とだけ書かれています。被害状況も、1、3、5号機の状況も、復旧状況も、何のアナウンスもありません。そのため、 Wikipediaでさえ、「プレスリリースは2、4号停止のままだが、全停止とする報道もある」とあいまいに書かれています。
 プレスリリースを正式発表としてそのまま読めば、「1、3、5号機は停止状態ではない」とも判断できます。「あれだけの津波を受けても壊れない火力はすごい」と単純に感動して、一旦は広野火力運転中というブログ記事を書きました。しかし、どうしても、疑念が解けなかったので、東電に直接電話をかけて確認しました。

<<電話で確認した状況>>
● すべてが停止中で、動かせない状態
● 2、4号機は運転していたが地震で停止した
● 1、3、5号機は作業停止中のまま
● 発電所1階フロアーが津波で大きな被害を受けた
● 岸壁の石炭荷揚げの設備破壊の影響が大きい
● 夏までに復旧を目指すが見通しがたっていない
 つまり、「全停止」ということです。確かに現場は大変なようです。それにしても、発電所に直接電話して「1、3、5号機は?」と聞いているのに、職員がすぐには答えず、「お待ち下さい」「折り返し電話します」との応対には驚きました。ただ今回は、ローテクな電話がネットより早くて確実な方法ということを再認識できました。

 さらに、その後でですが、電気新聞という業界紙を調べたら、すでに掲載されていました。このような業界紙や地方紙も貴重な情報源です。
>>電気新聞から抜粋
   「広野火力は当時、2、4号機が運転中、1、3、5号機が停止中、6号機が建設中という状況。激しい揺れに2、4号機は自動停止した。」、「津波が去った時、そこに見慣れた発電所の姿はなかった。保修用の資機材、100台以上の自動車が押し流され、一部はタービン建屋搬入口の頑丈な扉を突き破った。事務本館の1階は大量の土砂とがれきで壊滅状態。至る所で道路が崩壊し、整然と植えられていた樹木は見る影もない。津波は8~9メートル級と思われる痕跡が見つかった。」(3/23)
 「現在、鹿島火力と同じく太平洋に面した常陸那珂火力発電所1号機(100万キロワット)、広野火力発電所(380万キロワット)も全停止している。これらの復旧見通しについて、藤本副社長は、「常陸那珂の方が早いと思う。広野は津波で最もひどい被害を受けており、調査している段階だ。できれば夏前に立ち上げたいが、なかなかめどが立たない」と説明した。」(3/30)

 これらの情報から判断するに、相当な被害を受けているが、根幹部分が破壊されているわけではなさそうで、おそらく夏までには復旧させるだろう、ということです。それにしても、プレスリリースのおざなりな発表はいったい何なのでしょう。マスコミもなぜ取り上げないのでしょう。

<<情報公開を求めます>>
 というわけで、東電の発電能力については、その現状を確認するだけでも大変でした。私のような一般人がそんなこと知る必要があるのか、とも思われるでしょう。でも、電気は私たちの生活を支える「ライフライン」、日本語に直せば「生命線」です。ある意味、東電は私たちの「いのち」を握っています。ですから、東電は私たちに対して極めて大きな責任があります。このような会社には、一切の企業秘密があってはなりません。すべてを公開し知らせる義務があります。それが社会的責任というものではないでしょうか。

原発「反対」が「賛成」を上回る!ーギャラップ世論調査2011/04/21 20:02

日本の原発世論の変化(ギャラップ)
<世論調査> 日本で、原発「反対」が「賛成」を上回る!
 ギャラップの世論調査で、原発反対と考える人の方が多数派という結果がでました。それによると、日本では、原発反対が28%から47%に大幅に増えたのに対し、賛成が62%から39%に激減しました。あれだけの福島原発事故の影響を考えれば当然のことだと思います。

世界の原発世論を変えた「FUKUSHIMA」ショック!
 この調査は、世論調査で有名なギャラップが世界47カ国3万4千人以上を対象に、今回の日本の震災と原発に関して行ったものです。震災と原発事故については非常に関心が高く、8割以上の人々が知っていると答えました。原発についてどう考えるかという問では、多くの国で原発反対の世論が増える結果となっています。全体では、賛成が57%から49%に減る一方、反対が32%から43%に増えています。あの原発大国フランスでも、賛成が66%から58%に低下、反対が33%から41%に増加しました。ドイツやイタリアでは、ほぼ4分の3が原発反対という結果です。これに対し、韓国や中国では、反対世論が増えてはいますが、調査した中では最も賛成の比率が高くて、韓国が64%、中国が70%の賛成となっています。隣国の動向はちょっと気がかりです。詳しくは ギャラップ社のサイトをご覧ください。 調査結果

日本の世論調査
 4/18の 朝日新聞によると、原発を「増やす・現状維持」が56%、「減らす・やめる」が41%でした。また、同日の 毎日新聞では、原発「やむを得ない」が40%、「減らす・廃止」が54%という結果でした。
 これらの、結果の違いはどのように解釈したら良いのでしょう。一つは、政策に関する他の設問からの影響や、設問の微妙な違いなどで結果が変わる可能性があります。例えば,これまで国の世論調査では、「日本の電力の30%は原発です」と前置きをしてから、質問がされています。誘導が効くのは、それだけ判断が揺れているとも言えます。
 それにしても、朝日の結果に見るように、いまだにかなりの割合の日本人が原発を容認していることはとても残念です。結局、多くの人々は原発を止めて不便な生活に戻りたくないと漠然と思っているのでしょう。国と電力とマスコミ総掛かりの長年にわたる宣伝が本当に効いています。原発止めたら生活レベルが3分の2になってしまうというような間違った恐怖を植え付けられています。朝日の調査でも、他の原発で事故が起こる不安を感じる人が88%もいるのに、原発を容認する人が56%という矛盾した結果。不安だけど、しかたない・・・という、いかにも日本人的な判断だと思います。
 日本人は、いつも賛成か反対か態度をはっきりさせないところがあります。あいまいです。そして、「しかたない」という判断が非常に多い。「理想」と「現実」、「本音」と」建前」をすぱっと分けてしまいます。しかし、原発をどうするかという問題は、YES!かNO!どちらかしかありません。自分の問題として、徹底的に考え、判断しなければなりません。そして、その結果に責任を待たなければなりません。
 私の気持ちとしては、当事国として最大の被害を被っている日本では、少なくともドイツやイタリアを超える8割くらいの反対があっても当然と思います。しかしそうはならない!ということをよくよく考える必要があります。本当にどうしてなんでしょう???