世論誘導するマスコミ・・・読売と原子力の因縁2011/07/17 06:10

 歴史的な「脱原発」表明以来、菅首相に対する批判攻撃が一段と過激化しています。読売新聞などでも、原発事故問題はどこかに吹っ飛んで、もっぱら菅&脱原発批判を全面展開しています。ここまで言うかという内容が新聞報道として扱われています。
 新聞やマスメディアは社会に与える影響が極めて大きく、公共性が強いために、特に公平性と客観性が強く求められています。具体的には、1、事実を歪曲しない、2、報道する者の意見を含まない、3、意見が分かれる事柄は一方の意見に偏らず報道する、という3原則があります。はたして今のマスコミ報道がこの原則に則っていると言えるでしょうか?
 特に3の問題、これから日本では原子力発電をどうしていったらよいか?という点に関して、マスコミはどのような態度で行動しなければならないのかということです。読売の報道は、明らかに「原発存続」の立場です。一方的に片方の意見で作られています。読売がやっていることは、メディアを使った「世論操作」あるいは「世論誘導」そのものです。
 かつて読売新聞社主であった正力松太郎と原子力の因縁は有名な話です。戦後の日本に「平和利用」の名の下に原子力導入した立役者の一人で、原子力委員会初代委員長、科学技術庁初代長官をつとめ「原子力の父」とまで言われています。アメリカ政府は日本のマスコミの大物を使うことによって日本人の核感情を作り替えようとしました。もう一人の立役者は中曽根康弘元首相です。
 そうして始まった日本の原子力ですから、読売とは深い因縁があります。読売は、これまでも、首尾一貫して原子力推進のため世論作りに走ってきました。その罪は大変重いものがあります。そして今、再び開き直ったように、原発擁護のキャンペーンを始めました。「原発なしではやっていけない!」「自然エネルギーなど夢!」という意見広告のような記事がニュースと一緒に並んでいます。
 さて、近々、世論調査が行われるはずです。「脱原発」を明言した菅首相の支持率がどれだけ上がるかが、最大のポイントです。原発を進めたい人、手放したくない人たちにとっては、ここで支持率が上がってもらっては困るのです。菅をやめさせたい人たちも同じです。だから、ここでなりふり構わず菅批判を集中的に展開しているのです。

 最後に一言。私たち国民は騙されてはいけません。菅さんの指導力がどうの統率力がどうの実行力がどうのという問題は、政界運営レベルの話です。菅さんが「脱原発」したいと言いました。日本の将来選ぶべき道をどう選択するかという問題は、最終的には国民の選択であり責任です。最近の世論調査では、7割以上の国民が「脱原発」を望んでいます。それが素直に現れれば、菅首相は圧倒的指示を得て良いはずです。そして、もしも解散総選挙になれば、それが原発是か否を選択する選挙にならなければいけません。ちょっと先走りすぎました。
 さらに一言、50数年前の原子力導入の時に、国民がそれを選択した覚えはないでしょう。それだけではありません、当時の政界にしても、ほとんど寝耳に水の導入劇だったのです。中曽根など一部の政治家が「夢のような話」と言われながら、こんな大事な選択を行っていたのです。いまさら、菅の選択を批判するな、と言いたいです。

<参考>例えば 7/16の読売新聞社説と、 7/14の社説、・・・もっとも社説は社の意見だから、これも許されるのか。こういう方針で紙面を作っているということをお忘れなく、ということです。

コメント

_ 白い高耀太 ― 2011/07/17 11:51

 読売の社説を読むと、「原発を火力で代替して電気料金が上がれば・・・」という仮定がありますが、この仮定が成立するために必要な条件は、「火力の発電費用が、現状の売電料金と同等以上かかる(原価割れ)」でなければなりませんが、現状はどうなのでしょうか?料金を上げざるを得ない程、火力発電(特にLNG火力)は割高でしょうか?

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