再稼働にブレーキか?〜班目委員長?2012/02/20 20:32

班目春樹原子力安全委員会委員長
 「1次評価で原発の安全性を評価するには不十分だ。詳細な判断基準を設けた『2次評価』まで行わないと正しく評価できない」「そもそもストレステストを運転再開の判断に用いることには賛成できない」「運転再開の判断は政府や保安院が行うものだ」

 “デタラメ委員長”の異名をもつ原子力安全委員長の班目春樹氏、2/20の記者会見でこんな発言をしました。班目氏はこれまでも数々のトンデモ発言をしていますが、今回はマトモ過ぎてビックリです。たぶん国もビックリしたでしょう。これまでの流れからすれば、原子力安全・保安院の判断をそっくり認めるだけの機関でしたから。
 原子力安全委員会は内閣府に置かれた審議会で、原子力行政のチェック機関ということになっていますが、実際の決定権限は経産省や文科省が握っていますので、結局は専門家として「安全」お墨付きを出すのがその仕事となっています。実際に事故が起きた時には何の役にも立たなかったことは国民衆知の事実です。
 さて、班目委員長の発言はいったい何を意味するのでしょう。再稼働の条件とされるストレステストは1次評価と2次評価の2段階になっています。1次評価は、想定を超える地震や津波などに対しどの程度耐えられるかを調べます。一方、2次評価は、福島第一原発事故の検証結果も踏まえて総合的に評価することになっています。
 班目委員長は「福島原発事故の検証なしに安全評価はできない」という至極当然なことを言ったまでのことです。ただ意外だっただけです。3月いっぱいともされる委員長の任期をにらんで、重大判断から逃避する「責任逃れ」に過ぎないとも勘ぐれますが。
 班目氏の思惑ははさておき、この発言は再稼働を進める政府には影響を与えます。もともと、1次評価と2次評価の位置づけははっきりしていませんでした。政府はこれまで、定期検査中の原発の運転を再開するときは、1次評価で良いと言ってきました。運転継続の可否を判断するのに2次評価を行うと言っています。はっきり言ってよく分かりません。
 2次評価まで行うように求めている福井県など地元自治体の動きにも影響を与えます。安全委員会までが「1次評価では不十分」と言うのですから、このまま地元自治体がすんなり受け入れるとは思えません。
 班目発言で再稼働の流れが狂ってしまった国は,次にどう出るつもりでしょう。

“1次評価”安全性評価できず(NHKWeb2/20)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120220/t10013158631000.html