関西電力「原発ゼロで電力不足」の大ウソ!2012/02/21 20:15

2011年の夏の最大電力と原発なしの供給力
 2/20、高浜原発3号機が停止、ついに関西電力の原発11基がすべて止まりました。 たしか、関電の原発依存度は日本一の51%と言われていました(2010年度)。なのに停電ひとつ起こりません。電力会社は毎日のようにキツイキツイと言っていますが。もはや多くの人は眉に唾をつけて聞いています。すると、今度は「冬はいいけど夏は足りない」と言いはじめました。マスコミも一斉に「電力危機」を報じています。さて、本当に夏の電力は足りないのでしょうか。
 2/21に関西電力が発表した「原発なし」の供給力は、2766万kWでした。実は、これは不思議な数字です。国の試算に使われている関西電力のデータでは2533万kWですし、関西電力が10月にやはり国に出した数字は2353万kWでした。他社からの電力融通や自家発買電がプラスされているかもしれません。ま、とにかく、原発なしの最大供給力が2766万kWあるということがわかります。

関西電力「原発ゼロで電力不足」の大ウソ!がわかるグラフ

 さて、上のグラフは関西電力が発表した昨年の夏の電力需要に私が加筆したものです。昨夏の最大電力は、8/9の2784万kWでした。このグラフに、原発なしの供給力2766万kWのラインを引いてみました。なんと、超えたのはたった1日だけ!これだけでも私たちは原発なしで夏を乗り切る確信が持てるというものです。
 2010年猛暑の夏を電力会社はよく引き合いに出しますが、もうそのような電気の使い方はできないということは誰もが知っています。仮に、猛暑で電気を使いまくった2010年と比較すると、超えている日が何日もありますが、これとて、それぞれ昼間の数時間とみて、年間の1%程度のものです。他の99%の時間は電気は足りているのです。
 また、原発依存度51%という数字にもカラクリがありました。原発の供給力が976万kWでしたから供給力として原発の占める割合は27%(定期点検を考慮すれば22%程度)です。つまり、もともと4分の1程度しか原子力はないのです。ですから、すべて止めてもすぐには供給不足になるはずがありません。51%という数字に騙されてはいけません。多くの電力会社がそうであるように、これまでは原発をフルに使って、火力などはほとんど休止させていました。
 猛暑が来たらとか、火力発電所がダウンしたらとか、さまざまなマイナス不確定要素を言い立てて、やっぱり原発がいるという人はいます。しかし、考えてみてください、もしもの時のために原発が必要っていう論理はどこかおかしくありませんか。今、私たちは、もし事故が起こったら大変なことになる、だから原発は無いほうが良いと考えています。普段は必要なくて、もしもの時だけ必要な発電方法に命をかけることは、どう考えても理解に苦しみます。

コメント

_ 厩葱 ― 2012/02/24 11:16


昨夏(節電を呼びかけながら)乗り切れてしまった。

(実は節電しなくても乗り切れた)

この冬(厳寒といわれながら)特に問題なく乗り切れた。

そして この夏 を原発稼働ゼロで、乗り切れてしまったら・・・

(実は余裕で乗り切れる)

そしたら全国民にバレちゃうんだよなぁ~。

だから政府は 大飯3/4をすぐに動かしておいて、 この夏は大飯が動いたからギリギリ乗り切れた
(= 実は 大ウソ)って言いたいんだよなぁ~。

ヤバいんだよぉ
この夏 乗り切れてしまったら
(実は余裕で乗り切れる、節電も不要)そしたら 動かす理由なくなっちゃぅ。

そうなったら
来たる その次の冬に
『電力が‥』にする?
そんなん昨冬 大丈夫やったやん?ってなる。

実は夏も冬も・・
節電の必要も…
ってことが バレちゃうんだよーぉ。

ヤバいょーぉ。
仕方ないから節電だけ呼びかけておこう。

実は 必要ないんだけど、その方が原発動かしたい人 増えるかもしれないから~。

ってことでぇす。

(業界 発)

_ まあ ― 2012/04/11 03:56

はじめまして。
電力不足の情報を集めている中でこのブログに行き当たりました。
そして、エネルギー事情についてどう考えておられるかをもっと知りたくなり、
コメントさせていただくに至りました。

まず、前提として私は原発再稼働賛成です。
理由は後で語らせていただきます。

 原発を今後も使わないことは、火力発電で過半数の電力をまかなうことを意味します。
その上で、お聞きしたいことは以下の3点です。
1.エネルギー安全保障
 その燃料(石油、天然ガス)は、主に中東などに偏在しています。これらの地域は政治的に非常に不安定(イランの制裁、ホルムズ海峡封鎖の可能性など)と言えるため、燃料を安定的に得ることにはかなりの努力が伴われます。エネルギーの安全保障をどう考えていけばよいのでしょうか?
偏在していないという点で天然ガスを主力に添えるべきだというお考えでしょうか?

2.環境性
 環境性に比較的優れていると言われている天然ガスにおいても、二酸化炭素が排出されます。石炭や石油においては排出される量はその倍近くもあり、また硫黄酸化物や窒素酸化物が排出される問題があります。京都議定書に違反することや酸性雨などの害を生むことをどう考えられているのでしょうか?放射性廃棄物を排出するくらいなら、違反も酸性雨も些事でしかないというお考えでしょうか?

3.経済性
 電力を生み出す、というところだけを見れば、火力発電の方が圧倒的にコストがかかります。また、主力電源が火力しかないことにより、燃料輸入の際に足下を絶対に見られます。現に今、石油産出国は強気ですし、天然ガスの取引価格も日本だけ各国の倍?近くの値段で契約しているはずです。この2点による高コストは電力会社の経営努力だけではどうしようもないものだと思います(今以上に経営努力すべきだとは思いますが)。したがって、電力料金として我々にのし掛かります。具体的には、家庭レベルでは、支出が多くなり家計を圧迫します。企業レベルでは、同じく支出が多くなり、国際競争力が下がります。工場などの海外移転もさらに進むでしょう。これらが意味することは、雇用悪化と不景気です(ちょっと飛躍かもですが)。経済性をどう考えられているのでしょうか?国土を失うリスク、放射線にさらされるリスクを考えれば、貧乏になっても仕方がないというお考えでしょうか?

お聞きしたいことは以上の3点です。

以上の3点を鑑みて、私はストレステストをパスし、今よりも説明を行うならば、再稼働はすべきだと思います。
足りているから問題ない、は違うと思います。今後ともいろいろな観点から問題ない状態で、継続して足りていることができるのか、が問題だと思います。
もちろん、原発の増設は別の話ですし、新エネルギー(昨今話題の核融合など)は力を入れるべきとは思いますが。

_ トムティットトット ― 2012/04/11 22:05

ご質問について私の考えをコメントいたします。
1.エネルギー安全保障
 原発事故前の関西電力の火力発電用燃料構成は、LNG64%、石炭25%、原油11%、重油その他2%です。そのうち、LNGの調達先は、インドネシア51%,オーストラリア17%、マレーシア11%、カタール6%、その他15%です。石炭では、オーストラリア71%、インドネシア17%、その他4%です。石油では、インドネシア72%、ベトナム23%、その他5%となっています。つまり、現状では火力発電用燃料の中東依存度はかなり低いといえます。これは他の電力会社でも同様の傾向となっています。とは言うものの、中東地域で危機が発生すれば、世界の資源供給に大きな影響が及ぶことは事実です。その場合、電力うんぬんよりガソリンや生活物資すべてに影響が及ぶので、電力が原子力だから良いとはいえません。問題の根本はエネルギーの大量消費にあります。化石燃料が有限であると同様ウランも有限です。今後エネルギー消費全体を減らしつつ再生可能エネルギーにシフトしていくのは必然と思います。
 余談ですが、ドイツでは自国の石炭産業をつぶさずに残してきました。今でも発電の44%が自国の石炭で賄われています。日本では、安い海外炭輸入政策に転換して国内石炭産業をつぶしてしまいました。エネルギー安全保障を考える上で参考になると思います。
2.環境性
 これまで「二酸化炭素排出量が少ないから原子力発電は環境にやさしい」という宣伝がされていました。しかし、事故を起こした時のすさまじい影響、遠い将来にわたって隔離し続けなければならない廃棄物の問題など、二酸化炭素の環境負荷とは比べ物にならないものです。だからといって二酸化炭素をどんどん排出して良いということではありません。ここでも、エネルギーの大量消費の見直しが必要です。なお、そもそも二酸化炭素は私たち生物のからだを作るもととなる物質です。
3.経済性
 これまで電力会社は燃料調達コストを下げる努力を怠ってきました。競争のない独占企業であること、燃料調整費制度によりコストがそのまま電気代にのせられる仕組みがあることなどがその理由です。いまさら足元を見られて吹っかけられたというより、もともと高値買いをしてきたのです。もちろん、ここにきて、燃料調達費がかさむのは、原発を止めた分火力を動かしているからです。常識的に考えれば、原発を止めて浮いたコストを火力に回せば良いのですがそうはいきません。ウランは、原発か原爆にしか使えませんし、核燃料は電力を消費して常に冷却し続けなければなりません。止めた原発は莫大な金が掛かり続ける「不良債権」となっています。莫大な設備投資、いくら掛かるか分からないバックエンドコスト、そして天文学的数字となる事故処理費用、それでも経済性云々を言えるでしょうか。これから電気代が上がるとすれば、それは原発のせいとも言えます。
 突き詰めれば原発をどうするかという問題は電力が足りる足りないではないと思います。手に負えない放射能を作り出す発電方法はやっていいのでしょうか。経済=お金のために、大地自然と命を犠牲にしても良いのでしょうか。ということをいつも考えています。

_ なでしこジャパンおやじ ― 2012/04/12 21:05

トムティットトット 様へ

ご意見は正しいと思いますが、現実というものがあります。
理想と現実をどうつなぐのか?その道筋が無いと空理空論になります。

■エネルギー安全保障。
石油石炭と異なる点は、そのエネルギ密度の高さゆえ、
有事の際にも時間的バッファーが大きく取れる点ではないでしょうか。つまり備蓄エネルギー量が大きいので、輸入が途絶えても長期間発電を継続できる点です。
石炭については、ドイツと日本は事情が大きく異なります。
①日本の炭鉱の質(石炭の質や掘削条件)があまりにも悪すぎることです。
②ドイツの隣国には、フランスがありいつでも大量の電力を買える状態ですし、いまも電力を買っております。つまりは隣の原子力村から電機を買って自分家には作らないというだけの事で。考えようによっては、自分のごみを隣村にすてているだけのインチキでは?
そんなの参考には出来ません。
そ言う観点で考えると、日本の回りは敵国だらけです。
中国・ソ連・かのくに、さらに唯一自由主義国家である隣国はというとと。。です。

理想論はエネルギー消費を減らして・・・再生可能エネルギーということですが。
実現へのロードマップはまったく見えていない現状で、エネルギーの大きな柱を廃棄するリスクの大きさはどの程度のものか。
個人的には乗り越えなければならない困難と思います。
5大国家のどこもが脱原発宣言しない中、安全保障面できわめて不安定な位置に対峙している日本が経済力を失うことはきわめて大きなハンディを背負ってしまうことを考えねばなりません。
1000年先は結構ですが、日々の安全の継続を断ち切るようなことにならぬよう良く考えるべきです。
話せば解る隣人はどこに居るのでしょうか?はるか太平洋の向こう・・・・では独自で・・・いやいや憲法が・・・どうすんだ日本。
生きていくためのリスクとは向き合わねばなりません。
再生エネルギーに金をかけるより、原子力に金をかけて安全にするというシナリオもあるはずです。あまりマスコミの宣伝に踊らされず冷静な技術論を考えてもよろしいのではないでしょうか?
制御不可能なといえばCO2も間違いなくそうなるでしょう。もちろん人類が即全滅するわけではありません、そう言う意味では原発だって・・・いまチェルノブイリが自然保護区になろうとしている現実は一考を要する問題かと思います。

_ まあ ― 2012/04/13 03:05

お答えいただきありがとうございます。
取り急ぎ御礼をさせていただきます。
お二方のご意見、勉強になります。
やはり、トムティットトットさんは「エネルギーを消費しない国」を理想としているのですね。
回答を見ていくつか思うところがありますので、また改めて尋ねさせていただきたいと思います。

_ ヤマモト ヤスヒロ ― 2012/05/25 18:58

原子力発電所を稼動しないで、この夏を乗り切るためにはどれだけの節電をしなければなりませんか?
たとえばそのとき10万台のエアコンを使わなければ、乗り切れる量なのですか?

原子力発電所の稼動に反対している人に呼びかけて、不足する時にはエアコンを使わないと宣言する人を集める。
それをまたお祭りにする。

このときあたりは夏の高校野球。
高校球児と暑い夏を共にしよう という言葉で
どこかに集まって、氷柱を立てて、カチわりを食べながら応援する。
エアコンは使わない。

関西電力が不足していると主張している量は、こんな市民の運動だけではまったくとどかないものですか?

_ トムティットトット ― 2012/05/26 23:02

2010年並の猛暑なら、2010年並みに電力を使うかと言うと決してそうではありません。2010年と温度条件が同じ日を昨夏から選んで(同時期同曜日)比較しても、200〜400万kW消費が減っています。震災で節電を意識しただけでもこれくらいは変わります。昨夏、関東では過剰節電もあって、最大電力は東電の予想を大きく下回りました。飯田哲也氏が政府の需給検証委員会に提出した資料http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120507/iida_shiryo.pdfが参考になります。いずれにしても、関電の15%以上足りないというのは極端な見積りで、一種の脅しです。

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