大飯原発と活断層(1)〜原発の地下はどうなっているのか? ― 2012/07/03 22:13
大飯原発直下の断層が「活断層」かもしれない!そんな「安全審査」の根本を揺るがす疑惑が浮上しています。にもかかわらず、大飯原発は強引に再稼働されました。
上の写真は、私が作った立体模型です。これは関電が国に提出した地質断面図をもとに作成しました。赤いラインで囲まれた薄黄色の面(三角形に見える部分)が問題となっている断層面(F6)です。黒いラインは地表面で、原発の建物の形もわかります。この立体地質図は、3号炉と2号炉でそれぞれ直行する断面を組み合わせてあります。
F6断層は地表付近(赤実線)では3号炉と2号炉の間を横切り海の方向(右奥)に伸びています。地下(赤点線)はどうなっているかというと、斜めに潜り込んで、なんと3号炉の真下100m付近を通っています。100mなどというのは原発の大きさと比較してもほんの「足もと」と言えます。
この断層が動いたら真上の原発はただではすみません。建設前の地質調査でこの断層の存在は分かっていました。それなのになぜ安全審査に合格したのでしょう。この断層F6を「古い断層で活断層ではない(つまり動かない)」と結論づけたからでした。
ところがその根拠となる元データに疑惑が浮かんできたのです。それを指摘したのは東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)です。同教授は「新しい時代にも動いた活断層である」ことを示すデータの存在を指摘しました。これに対して、関西電力は地質調査の原図の存在は認めましたが、断層部分の写真は探しているが見つからないと答えています。これは怪しいです。
この問題、連載でお話ししたいと思います。次回は、このデータについて紹介します。
大飯原発直下に活断層の可能性 専門家指摘、関電は否定(朝日新聞6/9)
大飯原発の破砕帯〜関電が資料出さずに審議延期(ourplanet TV7/3)
上の写真は、私が作った立体模型です。これは関電が国に提出した地質断面図をもとに作成しました。赤いラインで囲まれた薄黄色の面(三角形に見える部分)が問題となっている断層面(F6)です。黒いラインは地表面で、原発の建物の形もわかります。この立体地質図は、3号炉と2号炉でそれぞれ直行する断面を組み合わせてあります。
F6断層は地表付近(赤実線)では3号炉と2号炉の間を横切り海の方向(右奥)に伸びています。地下(赤点線)はどうなっているかというと、斜めに潜り込んで、なんと3号炉の真下100m付近を通っています。100mなどというのは原発の大きさと比較してもほんの「足もと」と言えます。
この断層が動いたら真上の原発はただではすみません。建設前の地質調査でこの断層の存在は分かっていました。それなのになぜ安全審査に合格したのでしょう。この断層F6を「古い断層で活断層ではない(つまり動かない)」と結論づけたからでした。
ところがその根拠となる元データに疑惑が浮かんできたのです。それを指摘したのは東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)です。同教授は「新しい時代にも動いた活断層である」ことを示すデータの存在を指摘しました。これに対して、関西電力は地質調査の原図の存在は認めましたが、断層部分の写真は探しているが見つからないと答えています。これは怪しいです。
この問題、連載でお話ししたいと思います。次回は、このデータについて紹介します。
大飯原発直下に活断層の可能性 専門家指摘、関電は否定(朝日新聞6/9)
大飯原発の破砕帯〜関電が資料出さずに審議延期(ourplanet TV7/3)
大飯原発と活断層(2)〜疑惑のデータ ― 2012/07/04 20:00
これらの図は問題の断層部分をスケッチしたものです。トレンチという大きな溝を掘って、直接地下の断層を調べたものです。大飯原発でも建設前にトレンチ調査が行われました。前回紹介した立体モデル図で青矢印をした辺りがトレンチ調査の場所です。現在は埋め戻されて施設の下になっているので見ることはできません。
一番下の図がトレンチ全体の展開図で、つなげると舟底のような形をした深い溝になっていることが分かります。幅20m深さ10mもある巨大なものです。トレンチは断層の上端を横切る形になっているので、溝の底部両側にその断面が出ています。四角で囲った部分が断層部分で、北側(上)と南側(下)の両側面で見られます。なお、この2枚のスケッチは同じ縮尺で描かれています。
順々に見ていきましょう。
まず上の方の図、北側断面スケッチを見てみます。
1、断層によるズレが明らかです。上部に堆積した新しい時代の砂礫層にもズレによる変形が認められます。堆積物の年代から、おそらく3万年より新しい時代に断層が動いた証拠と渡辺教授は見ています。
2、破砕面に砂礫とともに粘土があります。これらは断層がズレた時に岩石が破壊され細かく砕かれたためにできます。古い断層ではこれらは固着し岩石化していますが、特に粘土が見られる場合はまだ新しい断層である証拠です。
3、上層にシルト(砂〜粘土)が堆積しているところがあります。ここは断層運動で低くなった地面に細かい粒子が堆積した跡と考えられます。
これらの所見から、このF6断層は比較的新しい時代に活動しており今後も動くと予想される「活断層である」可能性が高いと言えます。
さて、次に真ん中の図、南側断面のスケッチを見てみましょう。地層の境目が真っ平らです。南側のスケッチだけ見れば断層のズレ(上下)は見られません。上層の堆積物もまったく影響を受けていません。つまり上層の地層が堆積した時代以降まったく動いていないようです。このことから、このF6断層は新しい時代に動いた形跡のない古い断層で「活断層ではない」可能性が高いということになります。
北側で見られたズレはどこに行ってしまったのでしょう。私は地質観察に関してはほとんど素人ですが、どこか変?で、モヤモヤが晴れません。たった2〜3mしか離れていない地層同士がうまくつながりません。同じ連続する断層に見えないのです(私には見る目がないからかも)。トレンチの穴の底に立って両面を見るので、この2枚のスケッチは向かい合わせになっています。すると、北側のスケッチで明らかなズレの面(図中の1)は南側のスケッチのどこにもうまくつながりません。それだけでなく、砂礫層の状態なども違って見えます。地質学の専門家の意見をぜひお聞きしたいと思います。
渡辺教授はどちらかの図が間違っているとしか考えられないと言っています。だとすると、一体どっちが間違っているのでしょう?どうして間違いが起こるのでしょう?なぜ上の図を隠していたのでしょう?不思議なことばかりです。
活断層か否かまったく相反するデータが存在している以上、早急に検証しなければなりません。しかし、関西電力はスケッチのもとになった写真を「見つからない」として未だに提出していません。写真などの証拠が示せないなら、今からでも遅くない、早急に掘削調査を行って断層の状態を調べ直すべきです。
もちろん安全が確認されていないわけですから、原発を再稼働するなどもってのほかです。
次回は、もしこれが活断層だったらどんな危険が想定されるか考えてみます。
大飯発電所敷地内の破砕帯の評価について(原子力安全・保安院が福井県原子力安全専門委員会に提出したもの)
無視された大飯原発の破砕帯 東洋大学 渡辺満久教授(講演会の録画youtube、画像は見にくいですが話が分かりやすいです)
一番下の図がトレンチ全体の展開図で、つなげると舟底のような形をした深い溝になっていることが分かります。幅20m深さ10mもある巨大なものです。トレンチは断層の上端を横切る形になっているので、溝の底部両側にその断面が出ています。四角で囲った部分が断層部分で、北側(上)と南側(下)の両側面で見られます。なお、この2枚のスケッチは同じ縮尺で描かれています。
順々に見ていきましょう。
まず上の方の図、北側断面スケッチを見てみます。
1、断層によるズレが明らかです。上部に堆積した新しい時代の砂礫層にもズレによる変形が認められます。堆積物の年代から、おそらく3万年より新しい時代に断層が動いた証拠と渡辺教授は見ています。
2、破砕面に砂礫とともに粘土があります。これらは断層がズレた時に岩石が破壊され細かく砕かれたためにできます。古い断層ではこれらは固着し岩石化していますが、特に粘土が見られる場合はまだ新しい断層である証拠です。
3、上層にシルト(砂〜粘土)が堆積しているところがあります。ここは断層運動で低くなった地面に細かい粒子が堆積した跡と考えられます。
これらの所見から、このF6断層は比較的新しい時代に活動しており今後も動くと予想される「活断層である」可能性が高いと言えます。
さて、次に真ん中の図、南側断面のスケッチを見てみましょう。地層の境目が真っ平らです。南側のスケッチだけ見れば断層のズレ(上下)は見られません。上層の堆積物もまったく影響を受けていません。つまり上層の地層が堆積した時代以降まったく動いていないようです。このことから、このF6断層は新しい時代に動いた形跡のない古い断層で「活断層ではない」可能性が高いということになります。
北側で見られたズレはどこに行ってしまったのでしょう。私は地質観察に関してはほとんど素人ですが、どこか変?で、モヤモヤが晴れません。たった2〜3mしか離れていない地層同士がうまくつながりません。同じ連続する断層に見えないのです(私には見る目がないからかも)。トレンチの穴の底に立って両面を見るので、この2枚のスケッチは向かい合わせになっています。すると、北側のスケッチで明らかなズレの面(図中の1)は南側のスケッチのどこにもうまくつながりません。それだけでなく、砂礫層の状態なども違って見えます。地質学の専門家の意見をぜひお聞きしたいと思います。
渡辺教授はどちらかの図が間違っているとしか考えられないと言っています。だとすると、一体どっちが間違っているのでしょう?どうして間違いが起こるのでしょう?なぜ上の図を隠していたのでしょう?不思議なことばかりです。
活断層か否かまったく相反するデータが存在している以上、早急に検証しなければなりません。しかし、関西電力はスケッチのもとになった写真を「見つからない」として未だに提出していません。写真などの証拠が示せないなら、今からでも遅くない、早急に掘削調査を行って断層の状態を調べ直すべきです。
もちろん安全が確認されていないわけですから、原発を再稼働するなどもってのほかです。
次回は、もしこれが活断層だったらどんな危険が想定されるか考えてみます。
大飯発電所敷地内の破砕帯の評価について(原子力安全・保安院が福井県原子力安全専門委員会に提出したもの)
無視された大飯原発の破砕帯 東洋大学 渡辺満久教授(講演会の録画youtube、画像は見にくいですが話が分かりやすいです)
7.6官邸前デモ(日記) ― 2012/07/07 15:24
"No More Nuclear Rain!" 去年の3月東京には放射能の雨が降りました。二度と再びニュークリアレインが降ることのないようにと、メッセージを書いた傘をひろげて、雨の中のデモに参加しました。昨日(7/6)の官邸前デモ、主催者によると15万人もの人々が集まったそうです。
地下鉄霞ヶ関駅12番出口を出ると経産省の真ん前に出ます。そこには「脱原発テント村」があります。ここでの抗議行動はすでに300日を超えているそうで、本当に頭が下がります。わずかばかりのカンパをしてバッジをもらい、気合いを入れ直してデモに出発しました。
「デモに参加の皆さんはこちらです」やけに親切な声がすると思ったら警官でした。カラーコーンと柵にはさまれて並んで進むのですが、なかなか前に進めません。ちょうど原子力安全委員会の入っている合同庁舎横あたりで一歩も進まなくなりました。まだ財務省上の交差点の手前です。道路の反対側にも、中央分離帯上にも、この辺だけでもたくさんの人々がひしめいていました。雨の中ですが、片手に傘、片手にプラカード、そして口々に「再稼働反対!」と叫んでいます。今回もまた、親子連れが目立ちます。幼子の手を引くお母さんの姿が印象的でした。かく言う私も親子連れでしたが。
とうとう官邸に一歩も近づけないうちに終了時間となりました。後で分かったことですが、この先の交差点は警察によって規制され官邸方向に横断禁止になっていたそうです。今回のデモでは警察はかなり徹底した規制をかけてきました。しかも巧妙に人々を誘導しています。デモ参加者をあちこちで分断して、とにかく官邸前に人を集結させないようにしていました。解散後ですら官邸前方向へは近づけず、離れる方向への一方通行という徹底ぶりでした。
考えてみれば「官邸前を埋め尽くす」なんてことを国が易々とやらせてくれるはずがありません。おそらく先週あたりまで警察も国もこれだけの参加人数を予想していなかったのでしょう。今後、人々の声や行動を力で押さえつけることになれば、中国やアラブの国々などと同じになってしまいます。政府や政治家たちが聞く耳持たぬ今の状況が続けば、今後ますます市民の直接行動は広がっていくはずです。それにしても、どうしてマスコミ報道機関の人たちは市民の声をもっと取り上げてくれないのでしょう
。
今回の官邸前デモの動画をいくつか紹介します。
2012年7月6日の首相官邸周辺デモを60秒で見る動画手前が首相官邸です。
NO NUKES 2012(USTREAM) 官邸前の雰囲気が伝わってきます
次>>
地下鉄霞ヶ関駅12番出口を出ると経産省の真ん前に出ます。そこには「脱原発テント村」があります。ここでの抗議行動はすでに300日を超えているそうで、本当に頭が下がります。わずかばかりのカンパをしてバッジをもらい、気合いを入れ直してデモに出発しました。
「デモに参加の皆さんはこちらです」やけに親切な声がすると思ったら警官でした。カラーコーンと柵にはさまれて並んで進むのですが、なかなか前に進めません。ちょうど原子力安全委員会の入っている合同庁舎横あたりで一歩も進まなくなりました。まだ財務省上の交差点の手前です。道路の反対側にも、中央分離帯上にも、この辺だけでもたくさんの人々がひしめいていました。雨の中ですが、片手に傘、片手にプラカード、そして口々に「再稼働反対!」と叫んでいます。今回もまた、親子連れが目立ちます。幼子の手を引くお母さんの姿が印象的でした。かく言う私も親子連れでしたが。
とうとう官邸に一歩も近づけないうちに終了時間となりました。後で分かったことですが、この先の交差点は警察によって規制され官邸方向に横断禁止になっていたそうです。今回のデモでは警察はかなり徹底した規制をかけてきました。しかも巧妙に人々を誘導しています。デモ参加者をあちこちで分断して、とにかく官邸前に人を集結させないようにしていました。解散後ですら官邸前方向へは近づけず、離れる方向への一方通行という徹底ぶりでした。
考えてみれば「官邸前を埋め尽くす」なんてことを国が易々とやらせてくれるはずがありません。おそらく先週あたりまで警察も国もこれだけの参加人数を予想していなかったのでしょう。今後、人々の声や行動を力で押さえつけることになれば、中国やアラブの国々などと同じになってしまいます。政府や政治家たちが聞く耳持たぬ今の状況が続けば、今後ますます市民の直接行動は広がっていくはずです。それにしても、どうしてマスコミ報道機関の人たちは市民の声をもっと取り上げてくれないのでしょう
。
今回の官邸前デモの動画をいくつか紹介します。
2012年7月6日の首相官邸周辺デモを60秒で見る動画手前が首相官邸です。
NO NUKES 2012(USTREAM) 官邸前の雰囲気が伝わってきます
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クラフトワーク"RADIO-ACTIVITY" ― 2012/07/08 07:52
クラフトワーク”KRAFTWERK”という名前を久々に聞きました。今回、坂本龍一氏の企画による”NO NUKES 2012”(7/7〜8幕張メッセにて)に出演しています。クラフトワークと言えばずいぶん前のドイツのテクノポップグループです。日本のYMOよりもっと前です。YMOに多大な影響を与えたグループと言われています。今回、坂本龍一のYMOと共演するというのは、実は凄いことかもしれません。ともに1980年頃が全盛期だったと思います。
ドイツ語で”KRAFTWERK”は「発電所」という意味だそうです。考えてみればテクノミュージックは電子楽器やコンピュータを駆使した音楽ですから電気とは深い関係にあります。しかし、テクノロジーを駆使しながら、技術文明を批判するというアンチテーゼみたいなところがありました。私は70年代プログレッシブロックにハマったことがありました。その後、プログレがポップ化したようなテクノも結構好きでした。
"RADIO-ACTIVITY(放射能)”、今回クラフトワークの一曲目がいきなりこれでした。オリジナルは1975年の作品です。その後、チェルノブイリ事故や昨年の福島原発事故を曲に取込んで新しいバージョンが作られています。今回も新しいビデオ映像を背景に日本語歌詞を入れながら歌ったそうです。このステージをぜひ見てみたかったです。いずれビデオが発売されるかもしれません。
これは昨年の映像ですが、"RADIO-ACTIVITY(放射能)”の福島原発事故版がネット上にありました。これを紹介します。反原発のメッセージはストレートですが、私にはとてもアートに思えます。2002年のライブ映像もあります。こっちのほうがライブステージ感があるかもしれません。
4.10 NO NUKES TV-7 "RADIO-ACTIVITY 2011" Level 7 Apology Mix
KRAFTWERK - RADIOACTIVITY Live in Japan 2002.12.13
NO NUKES 2012.オフッシャルサイトネット中継もあります
ドイツ語で”KRAFTWERK”は「発電所」という意味だそうです。考えてみればテクノミュージックは電子楽器やコンピュータを駆使した音楽ですから電気とは深い関係にあります。しかし、テクノロジーを駆使しながら、技術文明を批判するというアンチテーゼみたいなところがありました。私は70年代プログレッシブロックにハマったことがありました。その後、プログレがポップ化したようなテクノも結構好きでした。
"RADIO-ACTIVITY(放射能)”、今回クラフトワークの一曲目がいきなりこれでした。オリジナルは1975年の作品です。その後、チェルノブイリ事故や昨年の福島原発事故を曲に取込んで新しいバージョンが作られています。今回も新しいビデオ映像を背景に日本語歌詞を入れながら歌ったそうです。このステージをぜひ見てみたかったです。いずれビデオが発売されるかもしれません。
これは昨年の映像ですが、"RADIO-ACTIVITY(放射能)”の福島原発事故版がネット上にありました。これを紹介します。反原発のメッセージはストレートですが、私にはとてもアートに思えます。2002年のライブ映像もあります。こっちのほうがライブステージ感があるかもしれません。
4.10 NO NUKES TV-7 "RADIO-ACTIVITY 2011" Level 7 Apology Mix
KRAFTWERK - RADIOACTIVITY Live in Japan 2002.12.13
NO NUKES 2012.オフッシャルサイトネット中継もあります
クラゲ来襲〜大飯原発 ― 2012/07/09 00:05

大量のクラゲによって大飯原発の出力が低下するというアクシデントが起きています。一体どうしてこんなことが起こるのでしょう。クラゲまでもが再稼働に反対しているのでしょうか。
日本の原発はすべて海辺に建てられています。それは、冷却のための水を海から取っているからです。冷却というのは、発電機タービンを回した後の高温蒸気を冷やすことです。蒸気を冷やして水に戻します。そのための冷却水に海水を使っているのです。冷却用の海水は復水器の中の細管を通っています。原子炉一基当たり毎秒40〜50トンもの海水が使われています。多摩川の流量が毎秒40トンといわれていますから、立派な川と同じレベルになります。しかもたった一基だけでです。
大飯原発では大島半島の先端の小浜湾側に取水口があります。なお、排水口は北側の若狭湾側にあります。取水口には大河が流れ込むように海水が吸い込まれていきます。浮遊物などが流れ込まないように何段階もの柵やネットがありますが、一度にたくさんのクラゲが流れ込めば、ネットに引っかかって溜まり海水の流入を妨げます。そのため流入量が減少し、復水器の効率が落ちることになります。夏は海水温も高くなるのでなおさらでしょう。
クラゲはほとんど自分で泳ぐことができません。浮遊生物(プランクトン)です。潮流にのって流れてきます。若狭湾一帯では日本海を沿岸に沿って西から東へ流れながら北上する沖合の大きな流れと、湾内をぐるぐる回る沿岸潮流があります。クラゲはこの流れにのって移動しています。小浜湾内の潮流の流れは湾口西側から入って湾内を反時計回りに回って湾口東側から出て行くようになっています。したがって、外洋から流れ寄ったクラゲはちょうど細くなった湾口の西側、つまり原発取水口付近に集まってくると考えられます。ニュースでは取水口付近にクラゲが大発生したなどと言っていますが、原発が掃除機のようにクラゲを吸い寄せているのです。
今回問題になったクラゲが何クラゲであるかはっきりしませんが、写真で見たところではミズクラゲのようにも見えます。この他、近年大発生で問題になっているエチゼンクラゲという可能性もあります。これは巨大クラゲとも言われ、大きなものでは2mにもなります。悪者扱いされているので福井県ではエチゼンといわないようにしているという話も聞きます。大発生の原因は温暖化や海水の富栄養化などが原因と言われていますがはっきりわかりません。そういえば原発自身が温排水によって海を温めています。排水される時には約7℃温められています。少しは関係あるかもしれません。
実は、発電所へのクラゲの来襲はよくあることです。これも自然の警鐘のような気がしてなりません。どこかで自然界のバランスが崩れてはじめているのではないでしょうか。クラゲまでもが原発再稼働に怒っている、と私たちは受け止めるべきかもしれません。
大飯原発 クラゲで発電出力下がる(NHK7/8)
日本の原発はすべて海辺に建てられています。それは、冷却のための水を海から取っているからです。冷却というのは、発電機タービンを回した後の高温蒸気を冷やすことです。蒸気を冷やして水に戻します。そのための冷却水に海水を使っているのです。冷却用の海水は復水器の中の細管を通っています。原子炉一基当たり毎秒40〜50トンもの海水が使われています。多摩川の流量が毎秒40トンといわれていますから、立派な川と同じレベルになります。しかもたった一基だけでです。
大飯原発では大島半島の先端の小浜湾側に取水口があります。なお、排水口は北側の若狭湾側にあります。取水口には大河が流れ込むように海水が吸い込まれていきます。浮遊物などが流れ込まないように何段階もの柵やネットがありますが、一度にたくさんのクラゲが流れ込めば、ネットに引っかかって溜まり海水の流入を妨げます。そのため流入量が減少し、復水器の効率が落ちることになります。夏は海水温も高くなるのでなおさらでしょう。
クラゲはほとんど自分で泳ぐことができません。浮遊生物(プランクトン)です。潮流にのって流れてきます。若狭湾一帯では日本海を沿岸に沿って西から東へ流れながら北上する沖合の大きな流れと、湾内をぐるぐる回る沿岸潮流があります。クラゲはこの流れにのって移動しています。小浜湾内の潮流の流れは湾口西側から入って湾内を反時計回りに回って湾口東側から出て行くようになっています。したがって、外洋から流れ寄ったクラゲはちょうど細くなった湾口の西側、つまり原発取水口付近に集まってくると考えられます。ニュースでは取水口付近にクラゲが大発生したなどと言っていますが、原発が掃除機のようにクラゲを吸い寄せているのです。
今回問題になったクラゲが何クラゲであるかはっきりしませんが、写真で見たところではミズクラゲのようにも見えます。この他、近年大発生で問題になっているエチゼンクラゲという可能性もあります。これは巨大クラゲとも言われ、大きなものでは2mにもなります。悪者扱いされているので福井県ではエチゼンといわないようにしているという話も聞きます。大発生の原因は温暖化や海水の富栄養化などが原因と言われていますがはっきりわかりません。そういえば原発自身が温排水によって海を温めています。排水される時には約7℃温められています。少しは関係あるかもしれません。
実は、発電所へのクラゲの来襲はよくあることです。これも自然の警鐘のような気がしてなりません。どこかで自然界のバランスが崩れてはじめているのではないでしょうか。クラゲまでもが原発再稼働に怒っている、と私たちは受け止めるべきかもしれません。
大飯原発 クラゲで発電出力下がる(NHK7/8)
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