大飯原発と活断層(2)〜疑惑のデータ2012/07/04 20:00

トレンチ地質展開図スケッチ
 これらの図は問題の断層部分をスケッチしたものです。トレンチという大きな溝を掘って、直接地下の断層を調べたものです。大飯原発でも建設前にトレンチ調査が行われました。前回紹介した立体モデル図で青矢印をした辺りがトレンチ調査の場所です。現在は埋め戻されて施設の下になっているので見ることはできません。
 一番下の図がトレンチ全体の展開図で、つなげると舟底のような形をした深い溝になっていることが分かります。幅20m深さ10mもある巨大なものです。トレンチは断層の上端を横切る形になっているので、溝の底部両側にその断面が出ています。四角で囲った部分が断層部分で、北側(上)と南側(下)の両側面で見られます。なお、この2枚のスケッチは同じ縮尺で描かれています。

 順々に見ていきましょう。
 まず上の方の図、北側断面スケッチを見てみます。
1、断層によるズレが明らかです。上部に堆積した新しい時代の砂礫層にもズレによる変形が認められます。堆積物の年代から、おそらく3万年より新しい時代に断層が動いた証拠と渡辺教授は見ています。
2、破砕面に砂礫とともに粘土があります。これらは断層がズレた時に岩石が破壊され細かく砕かれたためにできます。古い断層ではこれらは固着し岩石化していますが、特に粘土が見られる場合はまだ新しい断層である証拠です。
3、上層にシルト(砂〜粘土)が堆積しているところがあります。ここは断層運動で低くなった地面に細かい粒子が堆積した跡と考えられます。
 これらの所見から、このF6断層は比較的新しい時代に活動しており今後も動くと予想される「活断層である」可能性が高いと言えます。
 さて、次に真ん中の図、南側断面のスケッチを見てみましょう。地層の境目が真っ平らです。南側のスケッチだけ見れば断層のズレ(上下)は見られません。上層の堆積物もまったく影響を受けていません。つまり上層の地層が堆積した時代以降まったく動いていないようです。このことから、このF6断層は新しい時代に動いた形跡のない古い断層で「活断層ではない」可能性が高いということになります。
 北側で見られたズレはどこに行ってしまったのでしょう。私は地質観察に関してはほとんど素人ですが、どこか変?で、モヤモヤが晴れません。たった2〜3mしか離れていない地層同士がうまくつながりません。同じ連続する断層に見えないのです(私には見る目がないからかも)。トレンチの穴の底に立って両面を見るので、この2枚のスケッチは向かい合わせになっています。すると、北側のスケッチで明らかなズレの面(図中の1)は南側のスケッチのどこにもうまくつながりません。それだけでなく、砂礫層の状態なども違って見えます。地質学の専門家の意見をぜひお聞きしたいと思います。

 渡辺教授はどちらかの図が間違っているとしか考えられないと言っています。だとすると、一体どっちが間違っているのでしょう?どうして間違いが起こるのでしょう?なぜ上の図を隠していたのでしょう?不思議なことばかりです。
 活断層か否かまったく相反するデータが存在している以上、早急に検証しなければなりません。しかし、関西電力はスケッチのもとになった写真を「見つからない」として未だに提出していません。写真などの証拠が示せないなら、今からでも遅くない、早急に掘削調査を行って断層の状態を調べ直すべきです。
 もちろん安全が確認されていないわけですから、原発を再稼働するなどもってのほかです。

 次回は、もしこれが活断層だったらどんな危険が想定されるか考えてみます。

大飯発電所敷地内の破砕帯の評価について(原子力安全・保安院が福井県原子力安全専門委員会に提出したもの)

無視された大飯原発の破砕帯 東洋大学 渡辺満久教授(講演会の録画youtube、画像は見にくいですが話が分かりやすいです)