ヨシ焼きの煙でPM2.5急上昇2013/03/18 21:32

佐野市でのPM2.5の変化グラフ
 上のグラフは足利市の東隣の佐野市で観測した微小粒子状物質(PM2.5)の濃度変化を表しています。佐野市の観測点は渡良瀬遊水池から北西10kmほどです。
 ヨシ焼きが始まったのが3/17の8時半、ヨシ焼きの煙が佐野市や足利市に流れた10時〜12時頃にPM2.5が急上昇していることがわかります。これは、明らかにヨシ焼きの煙によると考えられます。これと同じことが足利市の観測点でもみられました。
 大規模な野焼きをやってPM2.5が出るのは当たり前のことです。それにしても、国をあげて中国からの大気汚染物質PM2.5に大騒ぎしている最中、自分の足下で平気で大量放出しています。そして、そのことに誰も騒ぎません。
 なお、幸いなことに同じく佐野市のモニタリングポストでの放射線量には変化は見られませんでした。おそらく、灰を含む燃焼ガスは空気中に広く拡散しているので、離れた地点のモニタリングポストで空間線量に変化が出るほどなら大変なことです。
 問題は、放射性セシウムが薄く広く拡散することです。微量ではあってもセシウムは必ず含まれています。現地では今日の強風で再び灰が舞い上がっていることでしょう。

そらまめ君(ここから全国の大気汚染観測データがみられます)

渡良瀬遊水池〜ヨシ焼きが始まる(ライブ映像)2013/03/17 09:05

ライブカメラ映像(午前9時)
現在、午前9時ですがすでにヨシ焼きが始まっています。遊水池の北東方向からのライブカメラ映像には全面に立ち上る煙のようなものが見えています。見ている間にどんどん増えています。現在の風向きは北北東で風速は3mです。今後、風は南寄りになっていく予報です。

<10:40追記>ヨシ焼きの煙が足利まで流れてきました。すでに空の半分くらいは黄色っぽく霞んでいます。渡良瀬川の下流方向から来ています。どうやら渡良瀬川を遡って流れているようです。直線距離で18kmですから、風速3mでは2時間かかりません。現在、東南東の風2mです。まっすぐ足利の方向です。それにしても、これでは近隣では相当大変ではないでしょうか。

<13:00追記>風向きも変わってきたようで、足利の空も元の青空に戻りつつあります。13:00現在南の風4mです。ライブ映像を見ると燃えている場所も午前中とは変わっているようです。群馬県邑楽郡に住む友人の話では11時頃で北の空(渡良瀬川方面)が黒っぽくなっていたとのことです。ニュース映像を追記しました。

<15:00追記>ほぼ終了したのでしょうか。ライブ映像ではほとんど煙が見えなくなっています。南の風5m。
ところで、念のため今日は自宅庭で線量を測定していましたが、0.05〜0.15μSv/hで特に普段と変わりありませんでした。もっとも、線量計(エアカウンター)が反応するようではとんでもないことです。

<21:00追記>9時前の首都圏NHKニュースでもヨシ焼きが報じられましたが、この中で気になることがありました。600ヘクタールの予定が1200ヘクタール焼けたということです。「灰が極力飛散しないようにヨシ焼きのエリアを必要最小限に限定し、火入れは時間差を設けるなどの工夫を行いつつ今年のヨシ焼きを再開する」としていたのに、焼けてしまったですむのでしょうか?

<3/18追記>今朝の東京新聞によると、強風のため燃え広がり、1200ヘクタールを焼いた上、隣接する物置一軒を焼いたとのことです。これは、もはや「火事」です。責任を明らかにしてください。
読売新聞では「復活」「1300ヘクタール焼いたが、混乱はなかった」と書かれています。マスコミの扱いにも大きな違いがあります。

乙女 ライブ映像(国土交通省利根川上流河川事務所)

アメダス:関東地方

栃木・渡良瀬遊水地で3年ぶりに「ヨシ焼き」が行われました(FNNニュース)

渡良瀬遊水地 ヨシ焼きが3年ぶりに(NKHニュース)

ヨシ焼き:渡良瀬遊水地で3年ぶり再開(毎日新聞)

3年ぶりヨシ焼き 強風で炎広がり、物置焼く 渡良瀬遊水地(3/18東京新聞)

春恒例のヨシ焼き、3年ぶり復活…渡良瀬遊水地(3/18読売新聞)

放射能汚染より自然保護?〜渡瀬遊水池「ヨシ焼き」問題32013/03/06 18:54

ヨシ焼き風景(渡良瀬遊水地アクリメーション振興財団HPより)
 渡良瀬遊水池でヨシ焼きが始まったのは1955年頃からで、昭和30年代は全国のよしずの7割をここで生産していたそうです。質の良いヨシを採るために年に一回ヨシ原を焼き払うようになりました。その後中国産のよしずに押され生産者も減った今では樹林化防止や害虫駆除などを目的に存続されていました。近年はヨシ焼き自体が多くの見物客を集める一大観光イベントになっています。観光バスでやってきた来た写真愛好家たちが堤防にずらりと並ぶほどです。
 そんな中、最近さかんに言われるようになったことがあります。それは「ヨシ焼きは生態系保全のために重要」ということです。遊水池のヨシ原は全くの自然のように見えますが、実は人為的にバランスの保たれた生態系になっています。毎年焼き払われることによって植生の移り変わり(遷移)をリセットし、春先に地面への日照が確保され一斉に芽生えが始まることなどにより、結果的にそれに適応した様々な希少植物が生育できる環境になっています。いくつかの絶滅危惧種も確認されています。このような観点から改めてヨシ焼きの意義をとらえるという新しい動きもあるのです。
 今回のヨシ焼き再開の背景にはこの動きが絡んでいます。
◆ヨシ焼き中止から一転「再開」への動き・・・「自然保護」派の声を背景に
 さて、それでは今回のヨシ焼きの再開に至る経緯を簡単にまとめてみましょう。ヨシ焼きは毎年3月に実施していましたが、2011年は大震災直後で、それどころではなく中止になりました。計画停電や消防関係者を動員できないというのがその理由です。2012年は、放射能に関して安全性を確認できないからという理由で中止になりました。実際に放射能に対する周辺住民から不安の声が多く寄せられていました。ちなみに、その時の測定値はヨシからは最大で42ベクレル、下草からは最大で420ベクレル(乾燥重量1kq当たり)でしたので、むしろ今回の測定値の方が高いくらいです。
 こうして2回続けて中止となり、ヨシ原に手が付けられないでいたわけですが、昨年その状況を大きく変える出来事が起こりました。昨年7月、渡良瀬遊水池がラムサール条約の登録を受けたのです。これ自体は喜ばしいことです。世界的に貴重な湿地を守るための条約に登録されたのですから。
 ところがこのころから「ヨシ焼き」をめぐる動きが変わってきました。生態系保全のためのヨシ焼き再開を求める声があちこちから上がってきたのです。昨年11月には周辺の自然保護団体と治水団体4者が国土交通省に再開を求める署名を提出しています。ヨシ焼きをやらないため害虫が発生、ヨシの生育の悪化、希少な植物も減少しているというのがその理由です。
 そして、まるでこれが呼び水になったかのように、国と周辺自治体が動き始め、年明けの1月11日に周辺自治体の首長らを中心にした「渡良瀬遊水地ヨシ焼き再開検討協議会」が設置されました。そして、ひと月も経たない2月1日に第2回会議が開かれ、専門家による「安全確認」のもと、いともあっさりと「再開」が決定されたのです。日時は3月17日と決められました。なお、今回から主催者が「渡良瀬遊水池利用組合連合会」(生産者団体)から「渡良瀬遊水地ヨシ焼き連絡会」(自治体主導)に変わりました。一説では、連合会としては「何かあったらとても責任がとれない」からという話です。
 「ヨシ焼き再開」の直接的根拠は「安全が確認された」ということですが、「ラムサール条約に登録された生態系を保全する」ためという背景があるのです。これでは「自然保護」という「錦の御旗」を立てての再開強行ではないでしょうか。
 これが、おおまかな動きです。
◆「放射能汚染問題」を「自然保護問題」にすり替える動き
 結果的に、ヨシ焼きによる希少動植物の保護というメリットと放射性物質の拡散というデメリットを秤にかけて、メリットの方をとったのです。かつて、原発を「二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギー」「地球温暖化防止の切り札」などと、あたかも「自然保護」のために原発が必要だというような宣伝がされた時代がありました。というか今でもそういう人々がいます。そのときは地球温暖化防止条約(京都議定書)をお墨付きに使いました。この論理展開と似ているような気がしてなりません。今回は、ラムサール条約というお墨付きを利用し、自然保護という「錦の御旗」を掲げて、ヨシ焼きは「自然保護」のために必要と言っているのです。目に見えない放射性物質より、目に見えるきれいな草花の方の方が注目されやすいのは事実です。でも、きれいな草花の再生のために見えない放射能を拡散させても良いのでしょうか。
◆ヨシ焼き再開のために用意された「科学的」判断!  連載第1回目に書きましたが、専門家による「安全確認」は単にシミュレーションによって「このくらい被曝しても問題ない」というレベルの話です。これが「科学的根拠」であるなら、昨年の放射能レベルとまったく変わらないか、むしろ高くなっている状況で、昨年は「安全でない」が今年は「安全」ということに違和感を感じます。ちなみに専門家見解を出した埼玉大学の井上教授は宇宙線物理学が専門で、放射線生物学は全くの専門外です。しかもこんな短時間では自ら詳細な現地調査を行ったとは到底思えません。
 ストーブで燃やす薪の安全基準が1キログラム当たり40ベクレル、震災瓦礫の焼却前安全基準が同じく100ベクレルというのに、なぜ250ベクレルもあるヨシ原を野焼きできるのでしょう。今回の専門家見解を使えば薪も瓦礫も何でも燃やせます。
 どう考えてもそれは「ヨシ焼き」を再開するために取って付けられた理由に見えます。
◆湿原の保全にとってもっとも必要なのは「ヨシ焼き」より「水」
 湿原自体が消えてなくなればヨシ焼きもへったくれもありません。渡良瀬遊水池は100年間の間に一貫して乾燥化が進んでいます。実はヨシ原になったのも、沼や湿地が土砂に埋まり陸地化したからです。前回書いていますが、河川運搬土砂の沈殿は遊水池の宿命です。近年、上流のダムや河道掘削の影響でどんどん水の量が減りがますます乾燥化が進んでいます。このままではヨシ焼きとは関係なく湿原は失われていきます。
 足利の渡良瀬川も私が子どもの頃より極端に水が減っています。そのため水質も悪化しました。特に上流に草木ダムができてからそうなりました。遊水池の環境問題は歴史的にも空間的にももっと広い範囲で考えなければなりません。
◆原発事故は終わっていない
 事故が2年が経過しようとしている今、まるで過去の出来事であるような、もう放射能の影響はなくなったような、そんな雰囲気があちことで作られようとしています。放射能汚染の実態を隠し放射能再拡散をまるで無視した渡良瀬遊水池のヨシ焼きは、危険な「安全」デモンストレーションとなる恐れがあります。

生態系支える炎(読売新聞栃木版06/6/28)

渡良瀬遊水地など登録 ラムサール条約(下野新聞12/7/3)

こちらから「ヨシ焼き再開を求める要望書」がダウンロードできます。(わたらせ未来基金ホームページ)

平成25年 渡良瀬遊水地ヨシ焼きのお知らせ(財)渡良瀬遊水地アクリメーション振興財団

渡瀬遊水池「ヨシ焼き」問題2〜放射能の減らない遊水池の特徴2013/03/02 12:38

栃木県河川水質モニタリング結果より作成
 川はセシウムを運んでいます。セシウムは汚染レベルの高い上流部から下流へと常に運ばれてきます。セシウムは水に溶けるというより土に結合していますので、土砂とともに流れ下ります。したがって、増水して濁流が流れるようなときに大量に流れ下ると考えられます。上流部では浸食作用により土砂とともにセシウムが運び出されて徐々に減っていきますが、下流域では堆積作用によって土砂とともにセシウムが蓄積され増えていくというようなことが起こります。渡良瀬遊水池はまさにこのような場所なのです。広大なヨシ原は増水時に水浸しになるような所です。そこではセシウムを運んできた細かい土砂が沈殿して堆積します。
 上のグラフは、河川土壌に含まれる放射性セシウムの濃度変化を示すグラフです。ちょうど渡良瀬川が遊水池に入る所にある新開橋の下、左右河川敷と川底の土1キログラム当たりに含まれるセシウム134と137合計量の変化を表しています。データは栃木県による水質モニタリング調査結果から採っています。原発事故から2年近く経っても結局「減らない」ということがお分かりでしょうか。減ったと思ったら増えて、また減ったと思たら増えて、というようなことを繰り返しています。
 これは増水と関係あります。例えば、2012年6月28日に右岸河川敷で3900ベクレルに急増しています。実はその直前の6月20日に台風4号による増水があり、水位計の記録によると普段より6メートルも水位が上昇しました。もちろん河川敷は水没しています。水が引いた直後は大量の土砂がヘドロのように堆積していた可能性があります。おそらくそのためにセシウム濃度が上がっていると考えられます。
 ちなみに水位の記録を見ると、このような増水(4メートル以上)は年間に数回しかありません。2012年はこれと5/4の2回だけ、2011年は4回だけで、9月には台風で8メートルも増水したことがあります。もしも、このグラフを原発事故以前から描いたら「最初ゼロ、原発事故で上昇、さらに夏場の増水で急増して、一旦下がる」というカーブになったことでしょう。このグラフはそこから始まっています。
 最近の右岸440、左岸245ベクレルという濃度は福島県内などに比べれば桁違いに小さいのですが、この辺りとしてはかなり高いと言えます。遊水池のある栃木県南部のセシウム汚染レベルは地表1平方メートル当たり1万ベクレル程度(文科省の航空機モニタリング調査)、土壌1キログラム当たりで100ベクレル程度(栃木県の農地土壌調査2011年4月)とみられます。これが初期のフォールアウトによる汚染だったと考えられます。したがって、2年を経過しても初期汚染より数倍も高い状態が続いていることが分かります。つまり汚染は増えたままという状態なのです。
 上流の足尾山地や赤城山一帯には、地表1平方メートル当たり10万〜30万ベクレルもの汚染地帯が広がっています。大雨のたびにセシウムを含んだ大量の土砂が運ばれてくるため、今後も増えることはあっても減ることは難しいのではと予想されます。
 今から100年前、足尾銅山の鉱毒を沈殿させるために、ここに遊水池が作られました。今まさに同じことが起こっているような気がしてなりません。

環境省による放射性物質モニタリング調査結果(公共用水域・地下水)(栃木県)

農地土壌の放射性物質濃度の調査結果(栃木県)

国土交通省・水文水質データベースより藤岡観測所

渡良瀬遊水池「ヨシ焼き」再開!〜「セシウム野焼き」の危険性?2013/02/25 20:05

渡良瀬遊水池ヨシ焼きの様子
<文末に補足がありますー3/2>

 栃木、群馬、茨城、埼玉の4県にまたがる渡良瀬遊水池、その広大なヨシ原を野焼きする「ヨシ焼き」、原発事故の影響で一昨年昨年と中止されていましたが、今年再開されることになりました。3月17日、600ヘクタールに火がつけられます。ガレキ焼却や除染廃棄物処理がこれだけ問題になっている中で、広大な野焼きがどうしてできるのか、まず疑問に思いました。

◆セシウムの総量は7億ベクレルか?
 ヨシと下草に含まれる放射性セシウムの濃度は、今年1月の調査で乾燥重量1キログラム当たりで89~258ベクレル(5検体)、前回2011年12月から2012年1月にかけての調査では、ヨシで不検出~42ベクレル(3検体)、下草で122~420ベクレル(4検体)でした。ヨシと下草を一緒にするか分けるかで数値が変わりますが、ごく大雑把にヨシと下草合わせて全体を平均するとセシウムの濃度は1キログラム当たり130ベクレル位になります。
 今回火入れする面積は600ヘクタールです。これでも例年の4割ほどに縮小されています。だいたい皇居の3倍ほどの面積に相当します。これだけの広さが燃えるわけですから灰になるセシウムも相当な量です。全部でどれくらいの量になるのかをざっと計算してみました。あくまでも机上の計算ですが。
 結論から言うと、およそ7億8千万ベクレルになりました。ヨシ原1平方メートル当たりのヨシと下草の現存量(バイオマス)を乾燥重量でだいたい1キログラムと見積り、今回焼かれる総量を計算すると6000トンとなります。そこに放射性セシウム濃度130ベクレルを掛ければ総量が出ます。  つまり、今回のヨシ焼きで推定7億ベクレル以上のセシウムが灰になる可能性があるということです。そしてひとたび灰になれば新たな拡散と流出が起こるのは必至です。

◆瓦礫焼却では100ベクレル基準なのに130ベクレルの野焼きはOK?
 ヨシ焼きでは大量の灰が舞い上がってその時の風に乗って流れていきます。これまでも灰が降るという周辺住民の苦情が絶えませんでした。大きなものでは5センチもの灰が落ちてくることもあるといいます。それよりも問題なのは、目に見えないほどの細かい灰や煙で、これは相当広く遠くまで拡散するでしょう。
 「この煙を吸い込んでも被曝量は無視できるほど小さい」という専門家の分析がヨシ焼き再開安全性判断の根拠となっています。「焼却作業中の灰を吸い込んだ場合の内部被曝量は1時間当たり2.8マイクロシーベルトで、自然放射線による年間被曝量の1000分の1程度なので問題ない」というものです。1000分の1というととても小さいようですが、1年間は8760時間もありますから、1時間当たりで自然放射線の8倍以上になるとも言えます。
 いずれにせよ、このような論拠で安全判断をするのであれば、ほとんどすべての瓦礫焼却も即刻OKとなるでしょう。多くの自治体が、震災瓦礫受け入れにあたって、焼却前瓦礫1キログラム当たりで放射性セシウム濃度100ベクレル以下を受け入れ基準にしています。しかも、高性能フィルターなどを備えた専用焼却施設で燃やしたうえ焼却灰も厳重に管理するようにとされています。それなのに、平均130ベクレルのヨシ原を野焼きしても良いのでしょうか?とても不思議です。(続く)

 この問題、とても一度では紹介できないので何回かに分けてお話したいと思います。次回は、「放射能の減らない遊水池の特徴」についてお話ししたいと思います。さらに、「ラムサール条約とヨシ焼き再開に至る経緯」、番外編で「渡良瀬遊水池の歴史と因縁」と続ける予定です。


(参考)試算方法
 渡良瀬遊水地のヨシ原の現存量を調べたデータが見当たらなかったので、琵琶湖のデータを参考にしました。琵琶湖での調査(吉良1991)によると、ヨシ群落におけるヨシ地上部の現存量(バイオマス)は1平方メートル当たり平均で731グラム(乾燥重量)とされています。下草の混在割合を3:1と仮定すると、ヨシと下草合わせて1平方メートル当たりおよそ1キログラムというのが植生の現存量といえるのではないかと考えます。
 したがって、600ヘクタールは600万平方メートルですから、ヨシ+下草で総量600万キログラム(6千トン)ということになります。放射性セシウム濃度を1キログラム当たり130ベクレルとすると、130×600万=7億8千万ベクレルということになります。

ヨシ焼き:渡良瀬遊水地、3年ぶり再開へ 周辺4県協議会、内部被ばく「問題なし」(2/2毎日新聞栃木版)

渡良瀬遊水地 区域分け時間差点火 来月17日のヨシ焼き 連絡会が詳細発表(東京新聞)

渡良瀬遊水地ヨシ焼き再開に伴う放射能の影響について(協議会見解案)

<3/2補足>
・煙へのセシウム分配率は20〜40%で燃焼温度が高くなるほど煙への分配率が高くなる。つまり高温で野焼きされるほど煙の微粒子となって拡散するということです。
圃場での雑草等の処理に伴う放射性セシウムの飛 散防止技術の開発

・薪ストーブ等で燃やすことのできる薪の放射性セシウム濃度基準は、40ベクレル以下(1キログラム当たり)です。
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について