4号機燃料プール冷却停止!2012/04/13 12:33

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 今、もっとも危ないと言われる福島原発4号機の使用済み核燃料プール、その冷却が昨日から止まっています。このプールには原子炉2つ分にあたる1535体の燃料集合体が水中に保管されています。これだけで広島型原爆4000発分のセシウムが存在しています。これらの燃料は膨大な崩壊熱を出しているので、常に水で冷却し続けなくてはなりません。
 4/12午後2時44分、警報が作動し冷却水を循環する装置が停止しました。4/13午前の会見時点で、まだ停止中です。装置が停止した原因はまだわかっていません。水の循環が止まると、プール水温は1時間当たり0.5℃の割合で上昇するとしています。昨日の発表では、保安規定の65℃を超えるまでにまだ70時間あると言っていました。しかし、もうすぐ24時間経とうとしている現在、プールが何度なのか情報がありません。
 午前の会見の中で、東電のスポークスマン松本氏は、午前3時時点で49.9℃と答えています。昨日午前11時が28℃だったわけですから、すでに20℃以上上昇しています。これでは1時間当たり1.6℃以上の上昇になります。この通りとすれば非常に危険な状態で、このままいけば本日午後には65℃を超えます。
(注:東電松本氏は「49.9℃」という数値を間違って発表している可能性があります。今日の会見は、1〜3号機の窒素ガス注入系停止トラブルに関する臨時会見でした。直前に1号機ドライウェルの温度を49.9℃と発表していますの、それと混同している可能性があります。それにしても、疑問のある温度数値なのに現場の記者からはそれ以上質問が出ませんでした。不思議です。)
 東電は、冷却水漏れは現在止まっているので、システム再起動すれば冷却再開できると呑気に構えています。しかし、漏えいが停止の原因かも含めてまだシステムが停止した原因がわかっていないのですから、動くかどうか、動かしてもまた止まらないか、など実際どうなるかは分かりません。
 さらに、もう一つ気がかりなのは「ヒドラジン」が漏れていることです。ヒドラジンは今回の北朝鮮のロケット燃料にも使われている猛毒危険物です。福島原発では配管等内部腐食防止のためにこの危険物が注入されています。これが環境中に漏れ出せば放射能とは別の悪影響を及ぼすことになります。汚染水があちこちに漏れ出すような壊れたプラントにこれを注入することには多いに疑問があります。
 このように、詳しい状況は現在もはっきりしません。もし万が一プールが冷却できなくなれば、大変なことが起こります。マスコミはミサイル問題ばかりで、このことをほとんど伝えていませんが、万一のことになればミサイルどころではありません。今後の情報を注視しなければなりません。

 福島原発では、いろいろなことが次から次へと起こっているので、余程注意深く見ていないと何が大事な問題なのか分からなくなります。先ほども少し触れましたが、1〜3号機の格納容器内窒素注入ラインがまたも停止しました。バックアップラインで注入を継続していますが、これも原因が不明です。4/4、4/7、と止まってこれで今月3回目です。水素濃度は6時間おきに測って異常なしとは言いますが、変化が確認できるような生データは出ていません。(現在、水素濃度0.14%、ドライウェル温度49.9℃から55.5℃に上昇中と発表しています)これについても、注視していかなければなりません。

◆以下「東電発表」をそのまま引用します(4/12,5pmの記者会見資料より)
※4月12日午後2時44分、4号機使用済燃料プール代替冷却システムにおいて、「熱交換器ユニット漏えい流量大」の警報が発生し、当該システムのポンプが自動停止。系統からの漏えいの有無について現場確認を行った結果、以下の漏えい事象を確認。使用済燃料プール冷却システムが自動停止した事象と漏えいの関連性について、今後調査を行う予定。なお、停止時の使用済燃料プール水温度は28℃であり、温度上昇率は約0.5℃/hと評価している。
(1)系統からの漏えいの有無などの確認を行っていたところ、同日午後3時4分頃、当該冷却システムにヒドラジンを注入する配管に設けた逆止弁より、7秒に1滴程度、ヒドラジンが漏れていることを確認したことから、ヒドラジンの注入弁を閉止し、漏えいは停止(同日午後1時35分から同日午後2時56分にかけてヒドラジン注入を実施)。逆止弁の直下に漏れたヒドラジンの量は約20cc(10cm×20cm×1mm程度)。
(2)同日午後3時10分頃、4号機廃棄物処理建屋の1階東側において、使用済燃料プール代替冷却ラインの配管フランジ部より、2秒に1滴程度、系統水が漏れていることを確認。その後、同日午後3時55分頃、当該フランジ部の増し締めを実施し、漏えいが停止したことを確認。系統水は、フランジ部近くのファンネルを中心に、約20リットル程度(1m×2m×1~2cm程度)漏れた状況を確認。床面に漏れたヒドラジンおよび系統水は、廃棄物処理建屋内に留まっており、これら2箇所以外において、現場確認により、漏えいがないことを確認。


東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後5時現在】プレスリリース
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1201857_1834.html

4号機燃料プール、冷却停止=配管で水漏れ20リットル-東電(4/13時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012041201033

北ミサイル燃料に強い毒性、大量吸引なら死亡も(4/11読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120411-OYT1T00712.htm

<追記>(4/14)
 結局、システム停止の原因がはっきりしないまま運転を再開しました。冷却水漏れの原因はヒドラジン過注入のようです。停止時間は約25時間20分、停止中の温度上昇は7℃ということです。やはり、松本氏は温度を言い間違えたようです。東電はいつもさりげなくどうってことないように発表していますが、3.11前の基準で言えば「毎日が事故だ」ってことをお忘れなく!しかも綱渡りの毎日なのです。
東電発表より抜粋(プレスリリース4/14)
 その後、漏えいについては、使用済燃料プール代替冷却システムの停止後、ヒドラジンが継続注入されたことで、系統の一部が加圧状態になり、漏えいが発生したと推定。なお、漏えいが発生した一次系のフランジパッキンの交換を実施。使用済燃料プール代替冷却システムが停止した原因について調査したが、流量計の計装配管内に若干のエアの混入が見られたが、その他特に異常は確認できなかった。これらのことから、運転状態について確認を行うため、4月13日午後4時4分、当該システムを起動。同日午後5時35分から午後5時56分の間に流量計のエアベントを行い、同日午後6時10分、通常流量に調整し、流量検出器も正常に動作していることを確認。なお、起動後の使用済燃料プール水温度は35℃。運転状態について今後継続監視していく。

<追記2>(4/18)
東電の記者会見資料(4/16)
福島第一原子力発電所4号機使用済燃料プール 代替冷却システムの停止について