チェルノブイリ原発事故から26年〜福島原発は?2012/04/26 21:21

チェルノブイリ原発の「石棺」
 26年経っても、壊れた原発はそのまま、溶け落ちた核燃料もそのままです。そのまますっぽり巨大なコンクリートの石棺で覆っています。石棺が老朽化してきたため、さらに外側を覆う第2石棺の建設が始まっています。いったい、いつになったら「収束」するのでしょう。
 実は事故直後、ソ連政府は10日間でほぼ「収束」させたと言っています。放射能の大量放出を押さえたと言うことですが、実態は押さえたのではなく、出るものが出てしまった結果でした。その後、大量のコンクリートを投入して突貫工事で石棺を作り上げました。事故後半年後の11月には完成させています。内部には手がつけられない状態ですが、それなりの封じ込めを達成しました。
 その後26年も経ちましたが、中は何も変わっていません。原子炉からマグマのように流れ出して固まった核燃料が少なくとも4トンはあると見られています。現在、第1石棺の老朽化が激しいため、さらに外側を覆う第2石棺を作り始めました。将来的には核燃料の撤去まで行うとウクライナ政府は言っていますが、あまりにも莫大な費用がかかるために、おそらく実現は困難でしょう。
 チェルノブイリ原発事故後26年で分かったことは、ひとたび大事故を起こしたら、後始末はできないということです。結局このまま現場封じ込めを続けるしかありません。いったい、あと何年? 使用済み核燃料が安全無害になるまで10万年と言われていますから、おそらくそれと同じくらい! 人間にとって10万年など「永遠」と同じです。だから、原発事故は永遠に収束しないのです。
 さて、福島原発はいろいろな意味でチェルノブイリよりもっと深刻です。同時に4基の原子炉(使用済み核燃料保管プール)が危機的状況にあり、福島第一原発全体で1000トンをはるかに超える核燃料(使用済み核燃料)が存在しています。1年以上経った今でも、何ら封じ込めができていません。今後、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しから始まって、最後は原子炉内から溶けた燃料の取り出しと言っていますが、チェルノブイリに比べてもはるかに複雑な作業が必要です。おそらく、私たち生きている間にそこまで見届けることは不可能でしょう。
 結局最後はチェルノブイリと同じように溶けた燃料は手付かずで現場封印するしかないでしょう。今から、それを想定して工事を始めるべきです。地下ダムで原発を取り囲み、全体を頑丈なシェルター覆い、一刻も早く使用済み核燃料を取り出す。そこまではできるはずだし、やらなければなりません。もちろん、莫大な費用がかかります。東電の工程表はやれることをやらずに夢のようなことを書いているから「絵空事」と言われるのです。
 何十年かかるか分かりませんが、少なくとも燃料プールが空になるまで、再び大地震や大津波、不測の事態が起こらないことを祈るような気持ちです。そんな綱渡りをこれからも長期間にわたって続けなければなりません。フクシマはチェルノブイリよりはるかに困難な状況にあるのです。最近、もしかしたらチェルノブイリの方がまだマシなのかと思うことがあります。