柏崎刈羽原発の再稼働を許すな2012/05/09 20:31

米山SAから見た柏崎刈羽原発
 何の変哲もない風景写真ですが、海の向こうに見えるのは「世界最大の原発」東京電力柏崎刈羽原子力発電所(略称KK)、右手前から1,2,3,4,7,6,5号機の7つの原子炉が並び、総出力821万キロワットは世界最大。こんな写真がコンパクトデジカメのズームで簡単に撮れます。撮影場所は北陸自動車道米山サービスエリア(上り線)で、原発からはおよそ14kmのところです。連休中に立ち寄った時に撮影しました。こんな目と鼻の先に巨大な原発が存在しているのです。人口9万人の柏崎市中心部からは7kmしか離れていません。高速道路は、もっとも近いところで、原発まで3kmのところを通っています。ただ、そこからは松林に覆われた丘陵が遮っていて煙突や鉄塔以外は見えません。2系統の送電線が高速の上を跨いでいます。ここを伝わってはるばる関東に電気を送っていたのかと思うと複雑です。
 現在すべての原発が停止中です。これだけの大規模な発電所ですが、2007年7月の中越沖地震以後の5年間に運転されたのは、全発電能力の2割弱です。地震後2年半近く全機停止していましたが、運転再開反対の声を押し切って、7、6、1、5号機の順で次々に運転が再開され(7号機だけが2回運転)ましたが、現在はすべて定期点検で止まっています。そして、2、3、4号機は未だに地震で停止したまま運転されていません。ですから、現在は発電量ゼロどころか冷却のため莫大な電力を消費する「世界最大の無用の長物(危険物)」と化しています。
 東電の家庭用電気料金10.28%値上げが問題になっています。これは東電の「総合特別事業計画」に含まれているものです。値上げ自体の不当性については改めて考えたいと思いますが、この「事業計画」には絶対に見過ごせないことがあります。それは、東電が「柏崎刈羽原発を2013年4月に再稼働する」と明言していることです。再稼働を前提とした事業計画をこの時点で出してきて、しかも国がそれを認可するようなことになれば、これまた本末転倒です。事故を起こした会社が事故の後始末もできていないうちにもう再稼働を口に出すなど呆れます。今後、東電は実質国有化によって救済されそうな流れです。つまり、国と東電が名実共に一体化したら、いったい誰が東電の再稼働を判断するのでしょう。事業計画の認可はそのまま「再稼働ありき」の流れをつくるものです。
 これに対して、地元の新潟県の泉田知事は原発の再稼働には一貫して反対しています。福島原発事故の検証なくして再稼働の検討すらあり得ないと言っています。柏崎市の会田市長も同じ態度です。「東電は事故のけじめをきちんとつけてからモノを言え」という強い態度が感じられます。中越沖地震以来、東電に対してはかなりの怒りと不信感を持っていましたから、この対応はうなずけます。
 さらに、住民の動きもあります。再稼働の是非を問う住民投票を実施するための直接請求運動が始まりました。新潟県民の4万人以上の署名を目指しています。原発地元住民自らの声を反映させる動きで非常に注目されます。新潟ではかつて東北電力の巻原発建設計画を巻町の住民投票によって中止させたという歴史もあります。
 このように、柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては、カネの問題から再稼働させたい東電(と国)と、原発事故の恐怖を他人事とは思えない地元自治体(住民)との隔たりは大きいようです。もう一つのカギを握るのは、東電の電気を使っている私たち関東圏の住民です。実は最大の当事者でありながら、まるで他人事のように思っている人が多いのではないでしょうか。東京では近々「原発都民投票条例」が議会にかけられます。この行方にも注目しています。とにかく、みんなが自分の問題として考えることが必要です。
 最後に一言、「東電よ、原発再稼働なんて言い出す前に、原発事故の後始末をきちんとしろ」。

新潟県知事、再稼働前提なら「新社長と会わぬ」 柏崎原発巡り (日経5/9)

関西電力大飯原発の再稼働問題について(泉田知事定例記者会見4/19)

柏崎刈羽原発:再稼働是非、住民投票で 署名集めへ市民団体 /新潟(毎日新聞4/30)

住民投票で巻原発を阻止した住民運動

32万筆 署名有効 「原発都民投票」条例制定請求へ(東京新聞4/24)

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