30年で廃炉できる?・・・原子力委員会の甘い見通し2011/11/10 06:13

 国の原子力委員会が福島原発1〜4号機の廃炉に向けた工程案をまとめました。それによると、3年以内に使用済み核燃料の回収開始、10年以内に核燃料の取り出し開始、最終的な廃炉は30年以上かかるとしています。「30年」という具体的な数字を示していますが、いったい何の根拠があるのでしょう。
 今から30年前、「夢の高速増殖炉で核燃料リサイクル」と言われていたことを思い出します。はっきり言って、日本の原発政策は核燃料サイクル実現を前提に進められていたはずです。それが、今だに実現の目処も立たずに金だけを浪費し続けています。「30年」と言われて、こんなことを思い出してしまいました。
 チェルノブイリ原発は、事故から25年たった今でも手つかずの状態であることをどう考えているのでしょう。全体を巨大な「石棺」で覆い、周辺を無人地帯にしています。コンクリートの劣化のため、第2石棺を建設する計画と聞きます。国はスリーマイル原発事故を参考にしていますが、事故の規模から言ってまったく比較になりません。福島原発で処理すると言っている核燃料はチェルノブイリよりはるかに多いのです。
 細かく批判すればキリが無いのですが、一番の問題は中の様子が今どうなっているのかすら分からないで、何を夢のようなことを言っているのか!ということです。世界が初めて経験する出来事ですから、ある意味どうとでも言えます。ただ、どうなっても原子力委員会も東電も政治家も、言った人たちはだれも責任取らないだろうということはハッキリしています。これは、悲しいかな経験則です。30年以上先にはみんな引退しています。
 ですから、どうも素直に聞けません。先の無い原子力産業が廃炉ビジネスで生き残り、莫大な金を遠い先まで約束されるようなやり方にも見えてきます。
 おそらく、福島原発は通常の廃炉には持っていけないでしょう。チェルノブイリのような現場封じ込め管理を続けるしかないと思います。そのような選択肢がまったく検討されずに、ただただ廃炉廃炉と言い続けるのは、またぞろ夢をふりまいて人々に幻想をいだかせることでしかありません。