地表の残留放射能試算グラフ2011/06/10 07:52

残留放射能量の推定グラフ
 文科省が発表している「定時降下物」データから3月18日以降、東京に降った放射性物質の残留量を推定してみました。推定では、ヨウ素131が6/10現在で1平方メートル当たり約80ベクレル、セシウム137が同く7000ベクレルとなります。

 毎日24時間分の放射性物質降下量を、今日まですべて積算しました。もちろん、ヨウ素131に関しては半減期8日という放射能減少量を計算に入れています。したがって、このグラフはそのとき地表に存在するはずの放射能量を表しています。ただし、地表の放射性物質がその後一切移動しないと仮定しています。
 実際は雨に流されたり、風に運ばれたり、地表の条件によって、その分布は大きく変わります。「定時降下物」とは、空から地表に降ってきた物質を24時間採集して分析したものです。それは、空気中の微細な塵や粒子が地表に落ちたてきた量で、特に雨や雪が降ると空気中のエアロゾルという微粒子が溶け込んで大量に降下してきます。なお、文科省データでは、5/15以降東京で放射性降下物は検出されていません。

 事故直後に東京にも放射性物質を含んだ大気が拡散してきました。当初は大量のヨウ素131が含まれていました。文科省のデータは3/18からなので、東京で一番多くの放射能が到達した3/15(毎時0.5マイクロシーベルト)から17日の3日間のデータがわかりません。上のグラフのピークがもっと左にずれてもっとずっと高かったかもしれません。このグラフに見られるピークは3/21〜23の雨によって大量に地上に落ちてきたものです。3/22は1平方メートル当たり36000ベクレルのヨウ素131の降下を記録しています。この頃、きちんと対策を講じていれば汚染を防げたものもあるはずです。
 ヨウ素131は半減期8日で放射能を減らしていきます。セシウム137は半減期30年なのでほとんど減りません。その後も少しずつ降り続いていますが、量的には圧倒的にこの3日間に降ったものです。ヨウ素131の変化曲線は半減期を表すカーブとほぼ一致しています。6/10現在、計算上は、ヨウ素131は1平方メートル当たり80ベクレルまで減っています。現在はセシウム137が残留汚染の主役だと思われます。このグラフを見るとずいぶん少ないように見えますが、これは最初ヨウ素が非常に高かったから、そう見えるのであって、現在も1平方メートル当たり7000ベクレルを超えるセシウム137というのは決して低くありません。しかし、地上1メートルでの被曝線量は計算上は0.006マイクロシーベルト毎時という値なので、外部被曝についてはほとんど心配する必要はないでしょう。
 問題は、内部被曝です。これだけの放射能は今どこにあるのでしょう。側溝に流れ込み川に入る、地面にしみ込む、そのまま・・・場所によっては集積しているところもあるかもしれません。下水汚泥が高濃度汚染という話もありました。詳しい追跡調査が必要です。放射能は決して消えてなくなるわけではありません。物質ですから、環境中を移動しながら、必ずどこかに存在しています。生態系を移動してついに自分の体の中に入っているかもしれない!ということが今一番恐ろしいことなのです。

 素人の計算なのでこの程度の分析しかできませんが、どなたか詳しい分析がいただけると幸いです。この試算をしていて、東京は宇都宮よりずっと高い(2倍以上)ということに気付きました。たまたま気象条件の違いが影響しているかもしれません。

参考資料
定時降下物データ(文科省) http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305495.htm
ベクレルからシーベルト(田崎晴明・学習院大) http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/docs/BqToSv.pdf

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