放射能拡散予測システムSPEEDI2011/03/26 11:21

speedi
 これは原子力安全委員会が発表した福島原発周辺の放射線被曝線量予測図です。ヨウ素131による内部被曝を見積もったものですが、ほぼ放射能汚染地域を示しています。新聞にも載っていると思います。読売新聞では色分けした地図が載っていて一見見やすいけれど肝心の数字がどこにも書いてありません。不安を与えない配慮なのでしょうか。確かにこういう図が公表されると影響は大きいと思います。もし自分の家がその中にあったらどうか。放射能が目に見えなくてその影響が分からないから一層不安がつのります。でも、だからと言ってデータや予測図を隠していればさらに不安をふくらませ、それだけでなく避難や適切な対応を遅らせることにもなりかねません。国は放射能汚染データやその危険性について速やかに公表し、素早い避難ができるように役立てて下さい。それがこの予測システムの目的なのですから。メディアの役割と責任も重大です。
 この予測システムは緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ)といいます。原発事故時の緊急対応のために作られたシステムです。それが今回役にたったとは言えません。放射性物質の拡散予測を迅速に行なって迅速に住民を避難させるという基本ができていないようです。地震後全てのデータが入らなくなったためということを理由にするなら何のための緊急システムかわかりません。速やかに原発周囲にモニタリングカーを走らせ海上にはモニタリングボートを配置して放射性物質の放出状況を把握していたのでしょうか?高度なシステムも入力するデータが採れなければ宝の持ち腐れ。地震後2週間近くたってようやく動き出すシステムの名前がスピーディとはなんという皮肉でしょう。あるいはもし計算していたのに結果を隠していたのならなおさら問題です。
 国はようやくその一部を公開しました。しかしこれはほんの一部です。SPEEDIのホームページを見るとこのシステムの全容が紹介されていますが、今回公表されたのはそのうちのほんの一部です。一番外側のラインが100ミリシーベルト(282時間累積被爆線量)ということは、その外側はどうなのでしょう。目の前のパニックを恐れて将来の不幸を招かぬように全ての情報を公開すべきだと思います。パニックやデマというのは正しい情報がないところで起こります。これまで海外サイトに載っていた拡散予測をいくつか紹介しました。これらは少ないデータから計算されたものなので予測の誤差は大きいと思います。現場の日本は少なくとも一番データを持っているのですからいち早く拡散予測を出すべきでした。
 今後最悪、放射能の大量放出が起こった場合には、すぐさま正確な拡散予測を出して迅速な避難や対応をとるべきです。それがパニックを防ぐことになるはずです。
原子力安全委員会緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
原子力防災ネットワーク>SPEEDIの出力図形の一覧
http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/030111.html

これもまた海外サイトの放射能拡散予測です。このようなシミュレーションは放射性物質の放出量がわからないために相対的な濃度の広がり方を示すものです。
ドイツ気象庁発表の放射能拡散予測(最新版)

海外の目、地球の目(日記)2011/03/26 23:17

 友人のFさん、妻子が海外在住。家族からは心配のメールやら電話がひっきりなしだと言います。スカイプの画面で娘と話していたら、心配する娘から「お父さんのまわりが光っているみたい」と言われたそうです。笑えない話です。
 この前は、親しい友人が母国からのチャーター便に乗って帰国しました。これはちょっとショックでした。
 世界地図を見ればここが本当に小さな島国だということがわかります。今、海外の人々から日本はどのように見られているのでしょうか。

 地球という大きな目で見れば、日本列島はプレート同士のぶつかり合う場所で、地震と火山の巣です。巨大地震も巨大津波も巨大噴火も、人間という小さな存在から見れば自然は何もかも巨大で圧倒的です。絶対大丈夫と言ってきた原発安全神話が自然の力の前にあえなく崩壊しました。自然を支配し大きな力を手に入れたと錯覚している人間のおごりが招いた危機だと私は思います。

 それにしても、この小さな島国に54基も原子炉を持っていて、しかもこの期に及んでまだ動かし続けているとは恐ろしいことです。