最新版放射能汚染地図・・・深刻な土壌汚染の広がり2011/09/16 23:45

放射能汚染地図(線量分布と土壌汚染)
 調査が進むにつれて、福島原発事故による放射能汚染が予想以上に広がっていることが明らかになってきました。
 上の地図は、放射線量マップ(左図)と土壌汚染マップ(右側)を並べてみたものです。左の放射線量マップは群大の早川由紀夫教授による最新改訂版(9/11)、右の土壌汚染マップは文科省による土壌表面の放射性セシウム沈着量の分布を示しています。縮尺はほぼ同じにして並べてみました。詳細地図はそれぞれ元データを参照して下さい(下にリンク)。
 どちらも衝撃的なものです。自分の住む所が色の塗られたエリアに入っているかどうか。まっ先にそれを見てしまいます。私の住んでいる足利市はラインすれすれのところにありました。それよりずっと遠い千葉県の松戸市や埼玉県の三郷市が色に塗られたエリアに入っています。一番外側のラインは東京都心にかかっています。福島県内には不気味な濃い色の帯が広がっています。
 右側の文科省データについて少し詳しく検証してみます。ぜひ、元データをご覧になって下さい。これは、ヘリコプターを使った空からの線量測定マップを、実際の土壌サンプリング調査によって補正し、広域的な土壌汚染マップにしたものです。土壌1平方メートル当たりに含まれる放射性セシウムの沈着量をベクレルで表しています。上図はセシウム134と137を合計したものですが、文科省データの中にはセシウム137のものがありますのでそれをご覧ください (下記リンク中の「別紙6」)。これをチェルノブイリ原発事故後の住民の移住基準と比べてみます。
 ①移住義務ゾーン 555,000ベクレル以上(555Kベクレル)
 ②移住権利ゾーン 185,000ベクレル以上(185Kベクレル)
 ③放射線管理ゾーン 37000ベクレル以上(37Kベクレル)
  (1平方メートル当たりのセシウム137密度)
 文科省マップで600K以上の緑、黄、赤のエリアと300K〜600Kの水色エリアの一部が、①移住義務ゾーンに該当します。これだけでも相当な広さです。100K〜300Kの青色のエリアの一部と水色の一部が②移住権利ゾーンに該当します。福島市などがかかっています。その外側の藍色、青緑色のエリアが③管理エリアにほぼ該当します。ここには栃木県や茨城県の一部まで入っています。
 つまり、チェルノブイリ事故の基準では移住対象に相当するような地域がかなり広範囲に広がっていることが分かります。早期帰還と国は言いますが、まず大前提は原発事故の完全収束です。さらにその後の土壌汚染がどのレベルまで下がるかの見極めなくして避難住民の帰還は無理ではないでしょうか。それどころか、現在何ら避難もされずにいる周辺地域もこのまま住み続けられるかどうかの判断が迫られていると思います。
 本当に深刻な問題です。恐ろしく長い時間がかかります。これらの地図を見ていると、本当に取り返しのつかないことが起きてしまったことがよく分かります。国土レベルの除染など到底無理なことはすぐにわかります。今後、調査が進むにつれて汚染地域はさらに広がるでしょう。また、解像度が上がってくるとさらにホットスポットの数も増えるでしょう。

放射能汚染地図四訂版(9/11)早川由紀夫群大教授
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-418.html

文部科学省及び茨城県による 航空機モニタリングの測定結果の修正について(8/31)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1940/2011/08/1940_0831.pdf
文科省は米国と協力して事故直後から空からのモニタリングを行っていました。これもいち早く住民避難に役立てることはありませんでした。今回の地図も非常に見にくいものです。調査エリアも限られていて、まだ群馬県や千葉県などのデータが載っていません。