毎時1万ミリシーベルト超!検出・・・原発建屋外で2011/08/02 07:55

高レベル放射線の検出場所
 1万ミリシーベルトの被曝を受けると人間は100%死亡します。そんな、高レベルの放射線が福島原発の建屋の外で検出されました。1万という数字もメーターを振り切っているので本当はいくらか分かりません。検出された場所は、1号機と2号機の間の主排気塔の根元配管付近です。おそらく、事故直後のベントの際にここを通って排出された放射性物質が残留しているものと考えられます。小出裕章先生によれば、核燃料がその場に転がっているようなものと表現されています。
 このような汚染箇所には人が近づけません。人が近づけなければ収束に向けた作業ができない。こういう場所があちこちに存在している可能性もあります。それにしても、測定に当たった作業員のことが気にかかります。計測器を3mの棒の先に付けて測ったということですが、東電は被曝量を4ミリシーベルトと発表しています。

 この事実は、事故を起こした福島第一原発を、将来、完全に廃炉撤去することがいかに困難かということを物語っています。通常の廃炉措置は放射性物質(死の灰)が燃料棒の中に収まっていることを前提にしています。それでも数十年の歳月を必要とします。ひとたび、燃料棒が崩壊(メルトダウン)して散らばってしまったら、もはや人間がそれをどうすることもできません。スリーマイルもチェルノブイリも、いまだに手がつけられていません。それ以上深刻な事態に陥っている福島を、今後どのように処理していくかは、人類にとって未知のことです。今の技術では完全な廃炉撤去によって元に戻すことなど到底不可能です。こんな原発を人類が使うことはできない。そんなことを考えました。

福島第一 毎時1万ミリシーベルト超 検出(毎日新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011080290071110.html
20110801 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章による解説
http://www.youtube.com/watch?v=f1U4ApE7spU

単位:10シーベルト=1万ミリシーベルト=1000万マイクロシーベルト

追記:別の場所でも10シーベルト 福島第1原発、画像を公開(毎日新聞8/2)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011080201000405.html

追記:全文書きおこしが掲載されています(8/2)
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65755020.html

追記:1号機空調機室で5シーベルト以上を計測(毎日新聞8/2)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110802-00000124-mai-soci
追記:作業員が近づけない!「即死」する10シーベルトの衝撃(8/6ゲンダイネット)
http://news.livedoor.com/article/detail/5765159/

「プルトニウムは飲んでも安心」大橋弘忠・東大教授(2005プルサーマル公開討論会)2011/08/03 07:58

大橋弘忠東大教授
 先日、児玉龍彦・東大教授の訴えを掲載したばかりでこのような動画を掲載するのが憚られます。

 やらせメール事件が騒がれ、すでに5電力に広がっています。このような動員や依頼は昔から繰り返されてきました。そのなかに、玄海原発のプルサーマル発電導入をめぐる動きもあります。2005年10月、玄海町で開かれた「プルサーマルシンポジウム」。九州電力はこのときの動員を認めています。さらに、同年12月に開かれた佐賀県主催の「プルサーマル公開討論会」においては、なんと参加者の半数近くを関係社員が占めていたとのことです。その流れを受けて佐賀県の古川知事が同意し、全国初のプルサーマル導入に至ったのでした。(プルサーマル:再処理で取り出したプルトニウムをウラン燃料に混ぜて発電する方法)
 その「プルサーマル公開討論会」では、推進する立場から大橋弘忠東大教授、反対する立場から小出裕章京大助教がパネリストとして登場しています。この動画はその時のものです。その中で、大橋弘忠東大教授が「プルトニウムは飲んでも安心」「我々専門家は水蒸気爆発など夢にも考えていない」などとせせら笑いながら発言したことは有名な話です。
 今更、この動画リンクを掲載しようと思ったのは、電力会社や国の世論操作が問題になっているからです。プルサーマル運転を認めさせるために推進側がやってきたことを再確認したいと思ったからです。関係社員が半数を占める会場で演じられた推進への「通過儀礼」。民主主義のスタイルを偽装した「プロパガンダ」。この動画を見ると本当に怒りが込み上げてきます。

 古川知事は、公開討論会後のインタビューで、「私の印象として、公開討論会をやる前と今とを比べると、プルサーマルの安全性ということについて言えば、理解が深まった」と言っています。もっとも、今回のやらせ問題では知事自身が推進派だったことがバレています。

2005年12月「プルサーマル公開討論会」から抜粋、”雲隠れした「プルトニウムは飲んでも安心」の大橋弘忠”
http://www.youtube.com/watch?v=6byKIUiuBcg

プルサーマル公開討論会終了後の知事インタビュー
http://saga-genshiryoku.jp/plu/plu-koukai/touron-051225-chijiinterview.html
プルサーマル公開討論会のアンケート結果について
http://saga-genshiryoku.jp/plu/plu-koukai/pdf/051225_plu_touron_enquete.pdf
公式記録:プルサーマル公開討論会(佐賀県)記録映像全体はこちらにあります。
http://saga-genshiryoku.jp/plu/plu-koukai/

九州電力 プルサーマルシンポに「動員」(しんぶん赤旗7/30)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-30/2011073015_02_1.html
動員要請:九電も社員や取引先などに(毎日新聞7/31)
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110729k0000e040081000c.html

原爆と原発2011/08/06 08:10

 私たち日本人は、広島と長崎の悲劇をよく知っているはずです。それとも忘れてしまったのでしょうか。
 私も修学旅行で生徒たちと一緒に何度も広島に行きました。被曝者のお話を聴いたりして、生徒たちとともに平和について考えました。その度に考えるのは、人間がどうしてこんなことをやれるのかということです。
 ここ広島に来て、被曝者に会って、それでも原爆が「必要悪」だと言える人がいるでしょうか?原爆は「絶対悪」です。
 核兵器が「絶対悪」なのは、人類の生存そのものを脅かすほどのとてつもない力を持っているからです。それは持ってはいけない力でした。

 では、原発は違うのでしょうか。

 広島原爆数十個分に相当する多量の放射性物質を放出している福島原発。いまだに7万人の人々が家を離れて彷徨っています。何百万、何千万もの人々が見えない放射能汚染に脅えて暮らしています。
 目に見えない放射線によって外から中から被曝にさらされている人々、放射能汚染で土地を奪われ生活を奪われた人々の前で、原発は「必要悪」だと言えるでしょうか。
 チェルノブイリでは25年経った今でも広大な無人地帯が広がっています。チェルノブイリ原発事故の影響では最終的に数万から数十万人のガン死者が予測されています。

 原爆と原発、「核」が生み出す悲劇を簡単に比べることはできません。ただ、どちらも、たくさんの「被曝者」を生み出す点では同じです。
 日本という国は、広島と長崎と、そして福島と、これほど繰り返し「核」の惨禍を受けて、たくさんの被曝者を生んだ、特異な国です。その日本が、「核」を捨てられないのは、なぜでしょう。
 今日は広島原爆の日、残念ながら菅首相のスピーチも腰の引けた中途半端な印象でした。「すべての核を捨てる」そう宣言してほしかった。