東電が全発電設備の供給力内訳を公表2011/08/10 18:21

 総出力5610万kW!これが8月末時点の東電の電力供給能力です。8/5、東電がすべての発電設備容量と供給力(8月末時点)の 内訳表を公表しました。東電が持つ膨大な発電設備の現状を一般市民が調べることは極めて困難でした。これまで多くの人たちが東電に公開を求めていたものです。
 盛夏を迎えた今、ほぼすべての運転可能設備を動かしてピーク供給力を賄う状況になっています。発表のタイミングが不可解ですが、今になって発表したのは、本当の供給力と毎日発表されるピーク供給力がほぼ一致するようになって、「意図的に供給力の調節を行っている」という批判をかわせるとみたからでしょう。8/6から柏崎刈羽原発1号機が定期点検で停止ということも関係あるかもしれません。同7号機は8/23から同じく停止します。なお、8月末時点の5610万kWのなかには現在運転中の柏崎刈羽原発7号機135万kW(8/23〜定期点検)は入っていませんので、ほぼそれに相当する供給力が現在未稼働のはずです。その辺りはこの資料からはわかりません。
 資料は東電HPの奥深くにさりげなく載せられていますので、見つけるのは大変です。東電トップ→でんき予報→新着コンテンツ→でんき予報の解説「供給力が毎日変わるのはなぜ?」・・・ここからが必見情報です。例えば、「ピーク時供給力とは」をクリックすると、「東京電力の発電設備(供給力の内訳)」というボタンがあり、そこからPDFファイルにリンクしています。
 供給力の内訳や揚水発電、自家発電など、これまで情報隠蔽や情報操作が問題になったり疑問視されていた部分が、今回かなりはっきりと公表されています。
 例えば、揚水発電供給力の算定根拠も載っています。夜間990万kWを使って揚水し、ピーク時に流して700万kW発電する(効率70%)ことも書かれています。また、関東地区の自家発電容量が1660万kWの内訳と活用状況も書かれています。いずれも、東電自らが一般ユーザー向けにまとめて公表するのは初めてのことだと思います。ただ、詳細に読めば、その内容は東電の「言い訳」です。意図的・恣意的な供給力変動はないなどと言っています。
 これまで東電や国がやってきた情報発信は、「原発を推進する」というフィルターとバイアスがかかったプロパガンダ的情報ばかりでしたが、電力問題に関してやっとデータ的情報を少しだけ出しました。
 しかし、問題の本質は「原発危機」であることを忘れてはなりません。東電のスタンスは本質的には今もまったく変わりません。東電や国が「電力危機」を前面に出す作戦であることには、私たちは注意しなければなりません。

 今日(8/10)は、東京練馬で最高気温36.8℃の猛暑でしたが、最大需要は今夏最高でも4910万kWで、東電の予想5020万kWをかなり下回っています。用意されたピーク時供給力は5460万kWで、使用率90%でした。供給力は東北電力への電力融通140万kWをあらかじめ差し引いてある上に、さらに今日は常磐共同火力から30万kWを融通して、合計170万kW融通を行うとしており、東北電力へのバックアップは万全でしょう。節電のおかげもありますが、結果的に電力にはかなりの余裕があるのです。残りの原発2機を止めても賄えることが分かります。

平成23年8月末時点の供給力5,610万kWの内訳(8/5公表時点)
http://www.tepco.co.jp/forecast/images/file0805.pdf

今夏の揚水発電供給力の算定イメージ
http://www.tepco.co.jp.cache.yimg.jp/forecast/images/yousuihatuden.pdf

追記:東電が煽る“電力不足”のウラ(週刊実話/エキサイトニュース8/14) http://www.excite.co.jp/News/society_g/20110814/Weeklyjn_1033.html