原爆と原発2011/08/06 08:10

 私たち日本人は、広島と長崎の悲劇をよく知っているはずです。それとも忘れてしまったのでしょうか。
 私も修学旅行で生徒たちと一緒に何度も広島に行きました。被曝者のお話を聴いたりして、生徒たちとともに平和について考えました。その度に考えるのは、人間がどうしてこんなことをやれるのかということです。
 ここ広島に来て、被曝者に会って、それでも原爆が「必要悪」だと言える人がいるでしょうか?原爆は「絶対悪」です。
 核兵器が「絶対悪」なのは、人類の生存そのものを脅かすほどのとてつもない力を持っているからです。それは持ってはいけない力でした。

 では、原発は違うのでしょうか。

 広島原爆数十個分に相当する多量の放射性物質を放出している福島原発。いまだに7万人の人々が家を離れて彷徨っています。何百万、何千万もの人々が見えない放射能汚染に脅えて暮らしています。
 目に見えない放射線によって外から中から被曝にさらされている人々、放射能汚染で土地を奪われ生活を奪われた人々の前で、原発は「必要悪」だと言えるでしょうか。
 チェルノブイリでは25年経った今でも広大な無人地帯が広がっています。チェルノブイリ原発事故の影響では最終的に数万から数十万人のガン死者が予測されています。

 原爆と原発、「核」が生み出す悲劇を簡単に比べることはできません。ただ、どちらも、たくさんの「被曝者」を生み出す点では同じです。
 日本という国は、広島と長崎と、そして福島と、これほど繰り返し「核」の惨禍を受けて、たくさんの被曝者を生んだ、特異な国です。その日本が、「核」を捨てられないのは、なぜでしょう。
 今日は広島原爆の日、残念ながら菅首相のスピーチも腰の引けた中途半端な印象でした。「すべての核を捨てる」そう宣言してほしかった。