ペレット1個から原発を考えるー出前講座より(1)2011/10/26 21:41

<ペレット1粒で家庭1年分発電>
 直径1cm高さ1cmの小さな粒。これが核燃料ペレットです(写真はもちろん模型)。昔、グリコのキャラメルが一粒300mなんてCMがありました。それだけのエネルギーのかたまりだっていうことを言いたかったのですね。では、このペレットはどれだけのエネルギーを持っているでしょう?なんと一般家庭1年分(約2000キロワット)の電気を作ります。莫大なエネルギーのかたまりなんですね。スゴ~イ!…というのが原子力の「バラ色の部分」…でした。
<ペレット1千5百万個!>
 この小さいペレットが長さ4mほどの細長い金属パイプに詰め込まれています。それが燃料棒。さらにそれが数万本も束になって並んでいるのが、炉心といわれる部分です。合計すると、1つの原子炉内にペレットが1千万~1千5百万個も入っています。
 1個のペレットには、ウランが約9g入っています。このうち核分裂するウラン235はわずか数パーセントです。原子炉が運転しているときは、核分裂連鎖反応が起こり膨大なエネルギーが放出されます。要するにものすごい熱を発生します。炉心は水に浸かっていますが、ペレットは灼熱の焼け石状態です。ペレット中心部は2000℃、表面で300℃になっています。その熱で水を沸騰させ水蒸気を発生させタービンを回して…というわけです。
<ペレット1粒で死の灰60兆ベクレル>
 熱エネルギーだけでも恐ろしいものを感じます。しかし、最も恐ろしいものは「死の灰」の発生です。ウランが核分裂すると放射性のヨウ素やセシウム、ストロンチウムなどが生まれてペレットの中に溜まっていきます。中性子吸収でプルトニウムなどもできてしまいます。
 この死の灰、一粒のペレットの中に約0.33gできます。少ないように思うかもしれませんが、これだけで60兆べクレルあります。もちろんこんなものが近くにあれば急性外部被曝だけでも致死量の放射線を浴びます。発ガン致死量では5万人分に相当する放射能の量なのです。
 ペレット1個でセシウム137は600億ベクレル生成します。これだけのセシウムで1kgあたり500ベクレルの暫定規制値に相当する汚染食品が12万トンもできてしまいます。
<電気とひきかえに死の灰を生む原子力発電>
 1家庭1年分の電気を作るために、5万人分の致死量に当たる死の灰を作るのが原子力発電なのです。なんと野蛮な技術でしょう。事故が起きないことを前提にしなければ、とてもじゃないけど使えない技術なのです。原子力発電を使い始めてわずか50年ほどで世界には二度も破局的大事故が起きています。事故の影響は100年単位で残ります。事故を起こさなくても、作ってしまった死の灰は環境に漏らさないように管理し続けなければなりません。10万年も!!!!それでもやりますか?