放射能と闘うより逃げるが勝ち!2011/11/14 06:09

セシウムの減衰曲線
 細野原発相が福島で民家の除染ボランティアに参加、土壌剥ぎ取りを手伝った細野氏は贖罪のつもりと神妙な態度です。原発公開に引き連れた取材陣を前に精一杯のパフォーマンスです。世の中は、いつのまにか「除染、除染!」の大合唱。でも、ちょっと待って下さい。汚染地帯からの避難という選択肢はどこにいってしまったのでしょう。それどころか除染して早く避難民を戻そうということまで言われています。国は年間1ミリシーベルト(空間線量率0.23μシーベルト/時)まで除染を目指すという方針を発表しています。まずは2013年8月をメドにとのことです。
 上のグラフは放射性セシウムの地表汚染濃度の変化を表しています。今後、地表面からの移動がないと仮定しています。つまり物理的半減期に従った減衰曲線ということになります。セシウム134の半減期は2年なのでセシウム合計の放射能量は最初の数年で急激に減ります。10年も経つと後は半減期30年のセシウム137の減り方に支配されます。ちょっと見るとどんどん減っていくように見えます。しかし、グラフの減りかたに安心してはいけません、現在の汚染がとてつもなく高いのですから。福島市の汚染が半分に減るのが6年後、それでも1平方メートル当たり10万ベクレルもあります。福島市のレベルが東京と同じくらいになるまでには100年以上かかります。右上の線は飯舘村のものです。このグラフをエクセルで作った時、間違っているのでは思い何度も計算し直したほどです。あまりにもひどい汚染です。現状で200万ベクレル/平方メートルという数値は100年やそこいらでは到底元通りになりません。
 このような汚染が大地全体を覆っているわけですから、生活空間全体の除染には相当な時間と労力とコストがかかります。先日のNHKテレビで児玉教授が標準的な家一軒の除染コストを試算して500万円以上と言っています。今そこに暮らす人々にとって速やかな除染は必要だと思います。しかし、放射能は今が一番強いのです。今すぐにできるならまだしも、国の言うように2年をメドになどと言っていたら、一番放射能の強い時にみすみす被曝を受けることになります。現状ではまず避難というのが基本ではないでしょうか。ぐずぐず検討などしているうちに被曝量はどんどん増えていきます。
 1ミリシーベルトを目指すというなら、現状で超えている汚染地帯については避難という選択肢をはっきり示すべきです。特に妊婦や子どものいる世帯では本当にまったなしです。なぜなら、子どもの育つ速度の方が放射能対策より早いからです。対策なんてぐずぐず言っているうちに子どもはぐんぐん育っていきます。その時が一番被曝感受性が高く危険な時なのですから。
 除染ばかりが優先されて避難選択が無視されているような現状は間違っています。国は一刻も早い事故収束を印象づけたいがために無理矢理、除染、帰還を急いでいるふうにも見えます。また、1兆円以上の除染費用が利権絡みの公共事業になりかねません。もしそうならとんでもないことです。さらに、最近はボランティアという声も良く聞きます。放射能との闘いを前面に出し、心情に訴えることで、ボランティア戦士を募ろうとしています。福祉分野でもそうですが、裏にコスト削減という下心もあるでしょう。大学生などの若い人たちが参加することは、被曝の危険性から絶対に薦められないことです。
 放射能レベルの高い今こそ避難を優先すべき時です。特に子どもたちは放射能レベルがある程度下がるまで故郷を離れることもやむを得ないと思います。それまでに除染をやって下さい。順序が違います。放射能と闘うより逃げるが勝ち!

「まず除染」大合唱の陰でホンネを言えなくなった飯舘村の“移住希望”村民(週プレニュース)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111111-00000301-playboyz-soci

細野環境相が除染作業…「しょく罪の意識込め」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111113-OYT1T00448.htm

コメント

_ どんぐりおばさん ― 2011/11/16 11:14

汚染の深刻さに胸のふさがる思いです。
いろんな背景をかかえて、避難したいのにできないで暮らしていらっしゃる方も多いんでしょうね。
ustreamで百人百話という体験を語る動画に出会いました。
いわき市の男性は年齢がうちの息子と同じ(第六話)。動画は長いけど、息子と重ねて聴かせてもらいました。

http://www.ustream.tv/recorded/18518876

「しっかり検査して公表してほしい。
 ぜひ関心を無くさないで欲しい。無くすと(国や県に)好き放題やられてしまう。」
と最後に語られ、しっかり受け止めなければと思いました。

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