アメリカ原子力規制委員会(NRC)の内部文書公開〜最悪のシナリオ2012/02/23 19:55

米NRCが公開した原発事故直後の会話記録
 アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)の内部文書が公開されました。内容は、福島原発事故直後に行われていた「電話会議」を記録したものです。事故発生から10日間分の記録です。ヤツコ委員長を中心にNRCスタッフやホワイトハウス関係者などが電話中継で話し合っているものです。全部で3000ページもあり、もちろん英語なので、目を通すことは大変ですが、ほんのちょっとだけ読んでみました。

 例えば、3/12(おそらくアメリカ東部時間)にこんな話をしています。

Well, we have an assessment that is 100 percent core melt in an open containment, and that's, as you would imagine, a very bad scenario with reaching the protective action guidelines out to 50 miles down wind.

(仮訳)我々は、炉心が融けて漏れ出すことは100パーセントだという評価をしている、それは、あなたの想像通りで、風下50マイル圏外への退避勧告にも相当する、とても悪いシナリオだ。

 すでに事故翌日には、炉心溶融を想定し、50マイル(80km)退避を念頭に描いていたことがわかります。このあとすぐに「ちょうど今、風下は海だが、決まってるわけじゃない」と言っています。
 この記録、生の会話そのものがそっくり文字になっています。「ヘイ、~」「オーケー、ちょっと眠っておこう」というようなことまで、そっくりです。とても臨場感のあるリアルな資料です。
他にも、5日後には3つの原子炉がメルトダウンしていると分析している話とか、日本側からの砂を入れるのはどうかとの問い合わせに対して、"water! water! water!"「水だ!水だ!水だ!」って答えた話とか、緊迫したやりとりが残されています。興味ある方は、ぜひ、原文をご覧ください。

 それにひきかえ、日本政府の対応はメチャクチャです。重要な会議の議事録さえ作られませんでした。これでは、後で政府の判断の是非を検証することもできません。もっとも、それを狙ってわざとそうしたのかもしれません。
 一国の政府のやることとしてはあまりにもズサンです。戦後政治の裏側がアメリカ側の資料から解るというようなことは、これまでもよくありました。まったく同じことが、これからも続くのですね。
 国際的にはすでに日本政府の信用は地に落ちています。原発事故の時だけでも政府がアメリカだったら良かったかもしれないと、正直思ってしまいます。

アメリカ原子力規制局NRCが公開した電話会議の記録
http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1205/ML120520264.html

  <福島原発>5日後「炉心溶融も」 NRC、最悪事態を想定(毎日新聞2/22)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120222-00000046-mai-int