神奈川県のお茶からセシウム1372011/05/14 08:07

  神奈川県足柄の新茶から基準を大幅に越えるセシウム137が検出されました。小田原で1キログラム当たり780ベクレル、清川村で740、湯河原町で680、愛川町で670、真鶴町で530という高い値が出ています。(国の暫定基準値は1キログラム当たり500ベクレル)恐れていたことが次々起こっています。私はこのニュースを見て、また25年前の記憶がよみがえりました。
 それは、 3/24のブログ「放射能汚染茶の記憶」です。25年前のチェルノブイリ原発事故の後、日本にも放射性物質が飛散してきて、そのために汚染されたお茶です。このお茶の汚染濃度はセシウム137とセシウム134合計で227ベクレルでした。当時は1キログラム当たり370ベクレルが国の輸入規制値でした。規制値自体が甘くなっていることがわかります。
なぜ、福島原発から遠く離れた所で?と疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、300キロメートルしか離れていないという見方もできます。チェルノブイリは8000キロメートルも離れていたのですから。福島県や北関東だけでなく、相当広い範囲に汚染が広がっています。きちんとその実態を調べる必要があります。
 今回のお茶の汚染で考えなければいけないことは、半減期の長いセシウ137によることと、それが、表面汚染ではないということです。お茶として摘み取られる葉っぱは新芽、新緑の部分です。空気中の放射線量や降下物の測定値から、検出されたセシウムは大量放出のあった3月中に降ったものと考えられます。今回収穫した部分は、その時には芽が出ていないはずです。ということは、土壌汚染から根を通じて吸収されたセシウムが新芽の部分に取込まれたということです。今後,お茶の木全体の放射能分析や、土壌の汚染調査を行って、汚染の仕組みと生態系汚染の実態を明らかにする必要があります。神奈川のお茶が汚染されたということは、土壌が汚染されているということですし、他の作物も汚染されているかもしれないからです。しかもセシウムによる汚染は今後長い間残ります。
 またぞろ、この程度の濃度なら健康に影響ないというコメントが出ていますが、お茶だけの問題ではないところを無視しています。この手の報道でいつも思いますが、「基準値を超えても問題ない」とするコメントについては、責任あるマスコミがどうどうと流すことではありません。
 私の住む足利市でも、牧草のセシウム137濃度が650ベクレルで基準を超えています。日光では3480ベクレルにもなっています。いずれも、牛に食べさせられなくなっています。ちょっと考えてみれば、牧草が汚染されていて隣に植えているジャガイモが無傷なはずはありません。私の植えたジャガイモも芽が出てすくすく育っていますが。
 最近、原発報道に慣れきってしまった感がありますが、食品汚染はこれからです。注意深くニュースを見ていく必要があります。

6/3追記:農水省は、新茶葉に含まれるセシウム137は土壌から吸収されたものではなく、古葉の表面汚染から吸収されて新芽部分に濃縮されたとの調査結果を公表しました。もしそうだとすれば、汚染は今回限りのことになります。はたして本当でしょうか?さらに詳しい分析と検証が必要です。
お茶の放射能汚染は関東一円に拡がり、さらにお茶どころの静岡まで及んでいます。そんな中で、静岡県の川勝知事が荒茶の検査を拒否しています。国に対して文句があるのは分かりますが、国以上に徹底した検査を実施して全てのデータを公開してこそ、静岡茶の信頼を得ることができるのに、残念です。

コメント

※コメントの受付件数を超えているため、この記事にコメントすることができません。

トラックバック