放射性汚泥は原発に返せ2011/08/16 20:51

放射性物質の汚泥 処分進まず/NHKニュース
 放射性物質に汚染された下水汚泥が相変わらず各地で問題になっています。これについては、 6/16の当ブログ『「放射能汚泥」は東電が責任を持って処理すべき 』ですでに述べました。そこで、私は、発生者である東電が責任をもって処理すべきであると言いました。
 あれから、すでに2ヶ月が経ち、放射性汚泥問題は東日本17都県に広がっています。原発から放出され各地に降下した放射性物質が、雨によって洗い流され下水を通じて集積したものですから、高濃度の放射能が検出されることは当然の結果です。むしろ自然による地表除染の結果ですから歓迎すべきことです。
 しかし、汚泥を貯め込んだ自治体は困ってしまいました。 前橋市の下水処理場などでは汚泥焼却施設が高放射線量のため「放射線管理区域」になってしまいました。そのため立ち入りができず、し尿処理もストップという状況です。
 国は汚泥1キログラム当たり8000ベクレル以下は埋め立て可能とする基準を作りそのまま捨てさせようとしています。何と言う無責任でしょう。実際は、最終埋め立て地となる民間処分場で地域住民の理解が得られず汚泥は中に浮いたままです。
 私は、こんなことになぜ困っているのか不思議に思います。処理に困っている原因は「放射性物質」です。その放射性物質を排出したのは「東京電力福島第一原発」であることははっきりしています。廃棄物は発生者に返して発生者が処分するのがスジです。

東京ドームのわずか6%分・・・原発敷地内処理すべき

 現在までに各地の処理場にたまった放射性汚泥は5万4400トンといわれています。乾燥汚泥のかさ比重がおよそ0.7ですから、その体積は約7万7700立方メートルです。これは、少しも膨大な量ではありません。よく比較のために出される東京ドーム球場の体積は124万立方メートルです。ドームのわずか6%程度です。縦100m横160m、深さ5mの穴を掘れば入ってしまいます。この程度なら、おそらく福島第一原発敷地内で埋め立て可能でしょう。
 なぜ、誰も原発に返せと言わないのでしょう。余裕で受け入れ可能であるにも関わらず誰も口に出しません。汚泥が行けば、次はがれき、次は除染残渣、次は・・・と際限なく放射性廃棄物が集まることを恐れているのでしょうか。
 放射能放出事故など起こりえないと言ってきた東電は、事故で放出した放射能について最後まで責任を持つべきです。海や大気に放出して世界中に拡散して行った放射能についても責任を持つべきですが、残念ながら現在の科学技術でこれを再び回収することは極めて困難です。しかし、日本の街に、農地に、大地に降り積もった放射能はできる限りの技術とカネとやる気をもって最後の1ベクレルまで回収に全力を尽くすべきです。
 東電が処理に四苦八苦している高濃度汚染水は12万トンもありますが、東電が処理すべきはそれだけではないのです。処理できないなら、当然今後の原発は一切認められません。

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_ 私設原子力情報室 - 2011/08/18 21:32

稲わらに堆肥、下水処理場の汚泥、ゴミ焼却場の灰、校庭などの除染のためにすき取った表土… 福島第1から出た放射性物質によって汚染された危険な廃棄物が、次々と生まれています