放射能と学校の対応2011/04/24 07:09

 学校というところは、基本的には「お役所」です。上からの指示がなければ動けない、マニュアルがないと動けない、というところがあります。私の勤務校でも、3.11の事故直後のことですが、放射能の大量放出が起きたら学校はどう対応するのかとの問いに、校長も教頭もポカンとして、県からは何も指示がありませんと答えるだけという状況でした。いざという時は、自分で判断するしかないと思いましたが、いったいどうしたら良いのだろうと、今も考えています。私は、教員としても、親としても、原発事故の影響を受けている福島県の学校は、この新学期にどのような対応を取るのか心配し注目していました。

 どうも、原発から30キロメートルの指定区域以外の学校は「平常通り」のようです。文科省の測定で屋外活動制限(3.8マイクロシーベルト/時以上)になった13校以外は、まったく平常通りの新学期ということです。(再検査で下回ったとして、4/23、4校が解除されて現在9校)
 福島県教育委員会のホームページに県民と保護者向けの「放射能を正しく理解するために」という資料が掲載されました(4/21)。当然、各学校にも配布され、これに基づく判断で学校運営がなされることになります。学校というところはそういうものです。これは、文科省が作ったもので、国の公式見解ですからぜひ熟読してください。
文科省:「放射能を正しく理解するために」(4/20)

 要するに、「避難指示してないところは安全」「放射能を必要以上心配しない」「ストレスの影響が大きい」と、書かれています。テレビや新聞で「御用学者」たちが繰り返す「大丈夫!」と同じことです。
 私は、これを読んでいて、怒りを覚えると同時に、とても悲しくなりました。子どもたちに対する大人の無責任を感じます。これまで、年間1ミリシーベルト以下としていた被曝限度が、いきなり、なぜ、20ミリシーベルトになってしまうのでしょう。国はそこから逆算して、毎時 3.8ミリシーベルトという、新たな基準を作りました。前回ブロブで、この数値がいかに大きなものであるかということを言いました。以前の基準に照らして言うなら、20分の1にして、毎時 0.2マイクロシーベルトとしなければいけません。しかも、大人ではありません、放射能の影響を受けやすい子どもたちなのですから、なおさらです。非常時だから仕方ないと言うなら、「安全だ」というのではなく、リスクを説明した上で「我慢してくれ」と言うべきです。

 福島県内の学校の放射線値が公表されました。これを見て、本当に暗くなります。 福島県調査(4/5)では、3.8を超える学校がたくさんあります。 文科省調査(4/14)では調査数が少なくなっていますが、そのなかで、3.8を超える学校が13校ありました。0.2マイクロシーベルトにしたらほとんどの学校が限度オーバーとなってしまいます。

 もし、自分がこういう学校に勤務していたら、一体どうするだろうか、ということを考えてみました。
 放射線値が毎時0.2マイクロシーベルト以下になるまで学校を休校にする。その場合、居住し続けることも困難かもしれません。それができないなら、登下校をスクールバスにして一切の屋外活動を止める。屋内退避と同じです。
 どれも、実際に行うのは大変なことです。学校独自ではとてもやれない。結局、学校は文科省や県の指示通り動くしかないでしょう。私ができるのは、せいぜい、マスク、手洗い、うがいなどを指導したり、放射能の危険性を精一杯訴えることぐらいかもしれません。あとはガイガーカウンターを設置し常時モニタリングを行ったり、原発や周辺の状況をネット等で監視して情報収集することぐらいかもしれません。でも、そんなことをやっていると「不安を煽る」ときっと言われることになるでしょう。今後、万が一放射能の大量放出が起きたときでも、自己判断で避難を行えば、最終的には仕事を辞めるしかないかもしれません。

 また、もし、自分が親として子どもを通わせているとしたら、一体どうするでしょう。
 とりあえず、子どもだけでも遠い親戚の家に避難させて、そこで学校に通わせる。でも、子どもはいやがるでしょう。だって、友だちみんなと別れなくてはなりません。転校先の学校でいじめられないか心配したり、ものすごいストレスを与えるでしょう。大人だけでなく子どもだって避難することは大変なことです。では、家の中にじっと居させるべきでしょうか。マスクに手洗いにうがいしかないのでしょうか。雨の日は休ませるくらいでしょうか。本当に悩みます。
 結局、放射線の値をみて自分で判断し、避難させるとなったら、子どもに十分話して理解させ、断固避難させるしかないでしょう。ある程度の被曝リスクを負いながら、居続けることを選んだら、被曝量をできる限り減らす工夫をしながら暮らしていくしかありません。
 国は、ある線引きをして、それ以下は「安全」と言い切ります。しかし、線引きがコロコロ変わり、信用できません。しかも、放射線の影響は、しきい値がありません。低いなら低いなりの影響があります。「ただちに影響がない」と言っても、将来の長い子どもたちへの影響はどうなのでしょう? 最後は自分で判断するしかないのでしょうか。

脱原発デモ in 東京(日記)2011/04/24 22:02

東電前のデモ
<デモの速報> 
 「原発いらない!」、東京電力の本社前で、叫んできました。今日は日本各地で反原発のデモや集会が行われています。私は、原発止めよう東京ネットワーク主催の「つくろう!脱原発社会」というデモに参加しました。久々のデモには娘も誘いました。彼女はもちろんデモ初体験です。
 参加者はここだけで4500人、東京都心だけでも3団体、さらに全国各地でやっていますから日本中では、たぶん数万人を超えると思います。世の中を変えるには、人々の心が変わらなくてはいけない。一人でも多くの人に「原発いらない」という思いを伝えたい。そんな思いで参加しました。
 参加者は、老若男女さまざまで、みな思い思いのスタイルで気持ちを表現しています。昔風の組合動員スタイルはあまり見られません。シュプレヒコールも闘い言葉ではなくて普通の言葉、個人の連帯という感じの実に平和的なデモです。私はこういうのは好きです。
 東電本店前では、さすがに気合いが入り、みんなで声を限りに「原発やめて」と叫びました。東電本店は、すべての窓にブラインドが降り、すべてのシャッターを下ろして一人の顔も見えません。まわりにはたくさんの警察官がいて、まるで東電を守っているようです。何人かが東電に近寄ろうとして、警官隊に取り囲まれました。まったく、いくら平和的デモをやっていても警官の過剰警備によって雰囲気が悪くなる。
 デモ初参加の娘は、「デモって意外に面白いね」、「今度はマイク握って見ようかな」などと言い出す始末、なかなか頼もしいものです。次は目立つファッションで、などとすでに次の行動を考えているようです。このように若い人たちが動き出さないといけません。君たちの未来がかかっているのですから。

NHKニュース
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 集会については次のブログにて報告します。これも心にずしりときました。